このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業務を変えるkintoneユーザー事例 第203回

零細企業でもDX化で事務所の組織化や生産性向上を実現

法律業界の当たり前に立ち向かう! 紙中心の業務をkintoneで変えた宇都宮東法律事務所

2023年10月06日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

kintoneにデータを集約、利益相反の確認もアプリ化して大幅な業務削減

 これらの課題を解決するべく、宇都宮東法律事務所ではコンサルティング会社の紹介でkintoneを導入することになった。kintoneをカスタマイズし、今までExcelで入れていたデータを集約させて、導入着手から約1か月半で本格稼働した。

「kintoneを導入して、手書きの交渉履歴をデータ化できました。いつ誰からどんなやり取りがあったのかといった記録をkintoneに一元化。人数が増えてくると産休・育休で抜けるスタッフも出てきますが、交渉履歴を見れば案件がどのように処理されていたのかがすぐにわかります」(伊藤氏)

これまでアナログで管理していた情報をkintone化した

 弁護士業務では利益相反がある案件を受けることができない。たとえば、過去に依頼を受けた人や、事件の相談を受けた人を相手にして裁判をしてはいけない。その確認をするために、相談者や相手の氏名をこれまでの情報と突き合わせる必要がある。この仕組みもkintoneアプリ化し、「コンフリクトチェック」のフォームに名前を入力して検索できるようにし、大幅な手間の削減を実現した。

kintone導入後の業務フロー

 さらにkintoneで問い合わせ日や面談日、契約日、終結日などを管理することで、1か月間の問い合わせや面談、契約、終結などのデータや面談率や受任率など、経営に必要な情報も集計できるようになった。

「共通ルールやノウハウの蓄積にも活用しています。たとえば、事務所内で社用車をどうやって使うかとか、昼休みにどうやって交代を取るかといったルールを新入社員にいちいち伝えるには煩雑です。ルール一覧を作っておけば、これから入社した人でも事務所の内部ルールがわかるようになります」(伊藤氏)

 このように、手書き情報をkintoneに集約することで、所員がお互いの案件を把握しやすくなった。産休・育休で抜けたスタッフの引継ぎも簡単に行なえるので、属人化せずに案件を処理できる。時系列で案件の確認ができるので、経営数値も見える化でき、経営方針を立てやすくなったという。

 また、宇都宮東法律事務所では、データを格納するクラウドストレージに「Box」を利用している。kintoneにBoxのURLを貼り付けておくことで、ワンクリックで該当のデータに飛べるようにしている。

「今までは、家で仕事する時に紙のファイルに持って帰っていましたが、今はそんなことをしなくても仕事ができる環境になりました。業務効率化が進み、働きやすい事務所になりました」(伊藤氏)

kintoneを導入することで大きな効果が得られた

DXにより、組織化が進まない法律業界を、所員が能力を最大限発揮できる業界に

 宇都宮東法律事務所では、kintoneを中心にしてDXを進めている。たとえば、kintoneに経過記録やノウハウを蓄積しつつ、進捗管理やタスク管理、コミュニケーションは「Chatwork」を活用。データ管理には前述のBox、通話記録は「カイクラ」、クラウド事件カルテは「クラウドバランス」を活用している。

宇都宮東法律事務所は様々なクラウドツールを活用しDXを推進する

「kintoneを始めとするDX化を進めることで、零細事務所が多い法律業界の中でも、事務所の組織化や生産性の向上を実現できると思っています。働き方改革の影響もありますが、限られた労働時間で、適切に案件を処理できる職場環境を整備でき、所員のエンゲージメント向上につながりました。すべての所員が能力を最大限活かせる職場を目指すときに、kintoneは非常に役立ったと思っています」と伊藤氏は語った。

kintoneが事務所の組織化や生産性の向上を実現、所員のエンゲージメントも向上させた

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事