拡大するアマゾン。生成AIで再び勢いに乗るか?
今回アマゾンが発表会を実施したMetropolitan Park、通称「Met Park(メットパーク)」は2023年5月にオープンしたばかりの新しい施設です。22階建ての2つのビルディングは「Jasper(ジャスパー)」と「Merlin(メルリン)」として名付けられました。
構造体には低炭素コンクリートとマス ティンバー集成材木材を使い、地元バージニア州で発電した再生可能電力によるオペレーションを徹底しています。また雨水や館内で利用された水を再利用するための、エコで最新鋭のリサイクルユースシステムを有しています。
渡り鳥の飛行経路にほど近い場所に立地するMet Parkは、地元の野生生物との共生を目指しています。2棟のメインビルの屋上は地元の自生植物により緑化され、渡り鳥が羽を休められる環境が整っています。19箇所の屋外テラスは社員の憩いのスペースになっており、また1階には誰でも立ち寄れるカフェスペース、ドッグランなどの施設があります。
館内の社員向け設備のデザインも広々として洗練されていました。「センター・オブ・ エナジー」として名付けられたフリースペースにはカフェやミーティングスエリアが充実しています。22階建てのビルは低層階から社員の入居を始めていますが上層階がまだ内装の工事等が進められています。低層階にはまだグループミーティングのスペースが作りかけだったり、各所に真新しさが感じられるビルディングでした。
アマゾンはシアトルの本社に続き、この場所を第2の本社(HQ2)と位置付けて、ビジネスの成長をさらに加速させる考えです。周辺地域への投資などにより、2030年までに25,000人のアマゾンの雇用を創出する計画も発表しました。地域全体では数千人の間接雇用をサポートできる施策を有していますが、現在までのところ、HQ2で8000人以上のアマゾンの雇用を創出したそうです。
アマゾンのサーニオ氏は「アーリントンでの本社拡大は、地元の方々の応援を背に実現できたこと。地域に恩を返しながら、世界中に展開するアマゾンの拠点の仲間たちと一緒に事業拡大を加速させます。今回発表した最先端のAIを活かしたサービスにも一段と積極的に投資します」と、HQ2が順当な船出を切れたことを強調していました。
イベントを取材した筆者も、パンデミックを乗り越えてふたたび大きな波に乗ろうとするアマゾンの「勢い」を肌に感じました。話題づくりではOpenAIやGoogleが先行した生成AIについても、これからアマゾンがより「家庭に近い」サービスやデバイスを届けてくれそうです。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。