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中国テック事情:重要鉱物めぐる輸出規制、気候変動への影響は

2023年09月29日 06時50分更新

文● Zeyi Yang

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Stephanie Arnett/MITTR | Envato

画像クレジット:Stephanie Arnett/MITTR | Envato

中国が重要鉱物であるゲルマニウムとガリウムの輸出規制を打ち出してから2カ月が経過した。重要鉱物は半導体の製造だけでなく、気候変動への対応にも欠かせないものだ。その役割と中国の政策について、専門家に話を聞いた。

この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

中国が今年7月に発表したゲルマニウムとガリウムの輸出規制は、米政府が戦略上非常に重要になる鉱物として指定した50種類の重要鉱物のサプライチェーンにおいて、中国の影響力の大きさを再認識させるものだった。

ゲルマニウムとガリウムは半導体チップや精密兵器に使われるだけでなく、クリーン・テックにおいても重要な存在だ。クリーン・テックは、気候変動を緩和するため、再生可能エネルギーへの移行を助けるテクノロジーを指す。本誌は先日、環境政策シンクタンクであるブレークスルー研究所(Breakthrough Institute)の気候・エネルギーチームの共同所長であるシーヴァー・ワンに、重要鉱物が果たす役割と中国の政策について詳しく話を聞いた。

なお、以下のインタビューは内容を簡潔・明確にするために編集している。

——中国は重要鉱物をグローバル・サプライチェーンに依存しているのでしょうか? 

中国による重要鉱物の独占が話題になる場合、そのほとんどは加工段階での話です。中国は鉱物に加工する前の鉱石を輸入しています。

クリーン・テックの観点から最も重要で興味深い鉱物は、水素を電力に変えるテクノロジーに使用される白金族元素(PGM:Platinum Group Metals)です。イリジウム、プラチナ、パラジウム、ジルコニウムなどの金属は、さまざまな燃料電池テクノロジーや電解槽自体に使用されており、その大部分は南アフリカ産です。

そして、コバルトの75%はコンゴ民主共和国産です。太陽電池製造分野や半導体チップに使用されている高純度石英は、そのほとんどが米国産です。興味深いのは、原子力発電所で使用するトリウムです。中国が原子力実証プロジェクトの一環として、トリウムを燃料とする高速炉の実験を進めているからです。そして、ニッケルはインドネシア産が多いです。

——中国政府は、多くの鉱物を輸入しなければならないという実態を脆弱性と考えているのでしょうか? 

ナトリウムイオン電池のような新しい電池テクノロジーの開発分野を中国がリードしているのは、サプライチェーンの弾力性確保を目指す取り組みのおかげです。ナトリウムイオン電池の場合、リチウムのサプライチェーンの不確実性による影響も、ニッケルやコバルトの影響も回避できます。サプライチェーンにおける利点があるため、多くの研究開発活動への援助が強化されたのです。

超高純度石英は実際、中国での生産能力を拡大するために、官民共同で多くの取り組みを進めてきた一つの例と言えます。中国が超高純度石英の国内生産に投資しているのは、現時点の生産量で北米が優位を占めている分野の1つだからです。ノースカロライナ州にある米国企業2社が、年間約18万トンの超高純度石英を生産しています。中国企業の江蘇太平洋石英は今年、その生産能力を5000トンから2万トンに引き上げています。そして、基本的に以上が全世界の生産量です。

そして興味深いことに、米国は超高純度石英の中国への輸出を規制していないのですが、国産物への依存を高めたい中国は、米国産の超高純度石英に16%の輸入関税を課しています。

——中国は国内に自給自足のクリーンテック・サプライチェーンを構築したいのでしょうか?

米国にしても、中国にしても、どちらも大国ではありますが、完全な自給自足の実現は単なる幻想に過ぎないことは明らかです。

両国の賢明な政治家たちは、何らかのデカップリング(経済分断)や貿易戦争に備えることを重視していると思いますが、完全に断絶することを前提に産業政策を策定しようとはしていません。仮に何らかの輸出規制がかかり、価格が高騰し、関連産業は苦しい時期を過ごすことになるかもしれませんが、それでも生き残れるように、国内のノウハウや生産能力、その他の供給源を確保しようとしているのです。

——しかし、米中は今でも気候変動問題でどのように協力していくかについて定期的に話し合っています。デカップリングに備えることと矛盾していませんか?

気候変動対策推進団体や活動家は、気候変動という世界的な課題に立ち向かうために皆が一致団結するという、ハリウッド映画的な結末を米中両国が目指せると思っているのかもしれません。

ただ、これはおそらくやや非現実的です。米国と中国には大きな見解の相違がある政策分野が非常にたくさんあるからです。ですから、見解の相違をむしろ認め合う必要があると思います。そして、競争には適切なガードレールを設定することが最善の道だと思います。

米国の政治家たちの多く、少なくとも民主党は、クリーン・テックに関してあまり強硬な態度に出ようとはしないと思います。彼らは、米国の気候変動目標が中国のクリーン・テックの輸入と密接に結び付いていると考えており、その輸入を危険にさらしたくないと考えているからです。そして中国側は、過度な競争に走ることに抵抗感があるのではないかと思います。というのも、クリーン・テック関連産業は実は中国にとって非常に儲かる輸出産業だからです。このことを知ったときは驚きましたが、実際、太陽光発電関連製品は中国の貿易黒字の7%という驚くほど大きな割合を占めています。

——米中以外の国は、クリーン・テックのグローバル・サプライチェーンにおいてどのような役割を担っていますか?

忘れてはならないのが、現在、多くの鉱石を輸出しているにもかかわらず、付加価値のある川下産業から恩恵を受けていない貧困国や中所得国のことです。

ジンバブエは未加工鉱石の輸出を制限しました。ジンバブエは国内製錬所への外国からの投資を奨励し、加工製品を輸出して自国民の利益を増大させたいと考えたのです。インドネシアもニッケルに対して同様の措置を採りました。

新興経済国諸国は、こうした産業部門に参入し、クリーン・エネルギーへの移行の波に乗り、経済的な利益を得ることを強く望んでいます。インド、インドネシア、ザンビア、コンゴ民主共和国、ジンバブエがこのような希望を見せています。ほんの5年後、10年後に、サプライチェーンはまったく異なる様相に変わり、米中のサプライチェーンに関するこの議論や不安、妄想などを振り返って、すべてがバカバカしく思えるのではないだろうかと、時々考えることがあります。

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ライブコマースの人気インフルエンサーに異変

毎晩数百万回の視聴回数を誇る中国の人気ライブコマース・インフルエンサーの1人であるリー・ジャチー(李佳琦)が、昨年謎の沈黙から復活した後、またキャリア上の危機に直面している。9月10日のライブストリームで、リーが79人民元(12米ドル)のアイブロウ・ペンシルを販売していたところ、視聴者から「値段が高くなっている」とのコメントが付いた。コメントを見たリーは感情を爆発させ、一生懸命働かないから賃金が上がらないんだ、と口走ってしまった。中国全体で景気が減速している中での辛辣な発言は大きな反発を招き、66万人以上のフォロワーがソーシャルメディアでリーのフォローを外した。

中国のニュースサイト「虎嗅(Huxiu)」が報じたように、論争の根本原因はライブストリーム業界で起きているより大局的な変化にある。リーのようなスターが一躍有名になれたのは、本人の人となりだけでなく、ブランドと交渉して「ネット最安値」を確保できたからだ。しかし、業界の状況が変化するにつれ、ブランドは大物インフルエンサーではなくニッチ、中堅のインフルエンサーにも目を向け始めた。トップ・インフルエンサーは交渉力が衰えるにつれ、最安値の約束を守ることが難しくなったのだ。こうした傾向が続くと、リーのような有名人は少なくなるかもしれない。

あともう1つ

現在、一部のフォント閲覧ソフトウェアで、中国語フォントを選ぶと「私はガラスを食べられます。痛くありません」という意味の馬鹿げた中国語が表示されるのをご存知だろうか。不条理な複文の例として選ばれたこの文章は、2000年代初頭にクラウドソーシングの言語学プロジェクトで150以上の言語に翻訳された。現在では、ミームやフォントのサンプルテキストという形で、インターネット上に永遠に生き続けている。

 

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