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キラーT細胞を活性化するRNAワクチンを創出=東北大など

2023年09月29日 06時51分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学と理化学研究所の共同研究チームは、人工脂質を用いて作られた脂質ナノ粒子が、がん免疫や感染免疫を促進する性質を持つことを発見。この脂質ナノ粒子にメッセンジャーRNA(mRNA)を搭載したRNAワクチンは、がんや感染細胞を殺傷する「キラーT細胞」と呼ばれる免疫細胞を強く活性化することを明らかにした。

東北大学と理化学研究所の共同研究チームは、人工脂質を用いて作られた脂質ナノ粒子が、がん免疫や感染免疫を促進する性質を持つことを発見。この脂質ナノ粒子にメッセンジャーRNA(mRNA)を搭載したRNAワクチンは、がんや感染細胞を殺傷する「キラーT細胞」と呼ばれる免疫細胞を強く活性化することを明らかにした。 RNAワクチンは、病原体の目印となる「抗原」を遺伝子情報としてmRNAに組み込み、生体内でタンパク質がつくられるようにした製剤である。mRNAを生体内の細胞の中に届けるために脂質ナノ粒子(LNP:Lipid Nanoparticle)を使っており、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して迅速な応用が進んだ一方、その免疫誘導メカニズムには未解明な部分が多い。 研究チームは今回、マウスモデルを用いて、細胞性免疫の活性を基準にmRNA封入LNPの条件を検討し、脂質の組成、脂質と mRNA の配合比、調製条件に関して検討した。その結果、ビタミンEを構造内に含む人工脂質を用いてLNPを作製し、mRNAを組み込むと、キラーT細胞を強く活性化するRNAワクチンとして働くことを見い出した。 続いて、RNAワクチンのどのような性質が、自然免疫の活性化に関わるかマウスを用いて検討。LNPを構成する脂質の中でも、イオン化脂質と呼ばれる成分の脂溶性構造の違いが、免疫応答に寄与していることを見い出した。さらに、このLNPを生体内で取り込み、キラーT細胞にワクチン抗原を提示する免疫細胞を特定した。 今回の成果によるRNAワクチンのメカニズム解析は、より効率的なワクチンの開発や、目的のタンパク質を補充するmRNA医薬の創出につながることが期待される。研究論文は、ACSナノ(ACS Nano)電子版に2023年9月26日付けで掲載された

(中條)

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