業務を変えるkintoneユーザー事例 第201回
転記だらけだった事務処理の作業効率は20倍へ、さらに220倍へ
kintoneは最高の知育玩具! ちどり保育園のkintone導入を成功させた秘訣とは
2023年09月28日 09時00分更新
2023年7月6日、Zepp DiverCityにてkintone hive tokyoが開催された。kintone hive史上最多となる、1000名以上の申し込みがあり、2階席まで埋まる盛り上がりぶり。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD」に進出する。
今回はトップバッターの社会福祉法人八越会ちどり保育園 園長 吉岡敦志氏のセッション「みんなのお悩み解決?! 効率220倍を達成?!を可能にする最高の知育玩具 kintone」のレポートを紹介する。
保育園の業務における3つの悩み
千葉県千葉市にあるちどり保育園の開設は1952年と古く、おじいちゃん・おばあちゃんが卒園生ということもあるほど歴史があるという。YouTubeやInstagram、TikTok、Twitterなど、各種SNSで積極的に情報発信をしているのも特徴だ。
吉岡氏が保育園に転職してきた2006年当時は、ほとんどの書類が手書きだった。そこで、吉岡氏はExcelに転記してデータベースを作るようにしたという。しばらくは一人で転記業務を抱え込んでいたが、数年前から3つの悩みが出てきた。
1つ目の悩みは、保護者は毎年、何種類も同じ書類を手書きで提出するのが大変ということ。2つ目の悩みは、保育士が保護者から提出してもらった書類を1つ1つ確認するのが大変ということ。そして3つ目、吉岡氏の悩みは、保育士が確認してくれた書類を1人でExcelに入力するのが大変ということだった。
「そんな中、「保育園落ちた日本○○ね」という言葉が社会をざわつかせます。実を言うと、この言葉がきっかけとなって、保育園に入園できる人数が多くなり、保育士の業務負担や給料が低いことなども注目されました」(吉岡氏)
社会が注目したことで、保育士の業務負担を改善しようという機運が高まり、保育に特化したICTシステムが多数リリースされた。吉岡氏にもコラボの話しが来たそうだが、すべて断ったそう。システム会社がパッケージとして開発しているので、ちどり保育園の業務にはフィットしておらず、もし導入するならパッケージにあわせて保育業務を変える必要がある。そうすると、さまざまなリスクが発生する可能性があるため、ICTシステムの導入を見送っていたのだ。
そのため、保育士の業務改善はなかなか進まず、吉岡氏の業務負担も増える一方だった。2021年2月、何か解決法はないかと検索しているときにkintoneを発見。早速試してみると、「使えるじゃん」と思ったという。
「CSVの入出力があれば、3つの悩みが解決できると思いました。しかし、アプリを開発したものの使ってもらえないという事例をいくつか知り、まずは先人の教えを生かすことに注力しました。『研修報告』アプリというkintoneに慣れることを目的とした簡単なアプリを作ったのです」(吉岡氏)
kintoneを導入したことで一人作業を分担でき、作業効率は20倍に
それまで、紙ベースで書いていた研修報告をkintoneに移行した。2021年はコロナ禍で、研修会はYoTubeやZoomで行なわれるようになっていた。コロナ以前のリアル研修は年に1回くらいだったのに、オンライン配信になることで一人当たり年に6~7回参加できるようになったそう。その研修報告をkintoneで行なうことで、ペーパーレス化を実現した。
当時の保育園は園児や職員、保育士の中の1人でもコロナの陽性になると、保育園全体を休みにしなければならなかった。当時、コミュニケーション用のチャットツールなどは導入しておらず、kintoneのスペースやスレッドを活用していたそう。そのおかげもあり、園内にkintoneが普及していった。
従来、吉岡氏が一人で行なっていた紙からExcelへの転記作業をkintoneを導入することで20人の保育士に依頼できるようになった。転記作業に関しては20倍の業務効率アップを実現したわけだ。
「僕の業務を20人に渡しただけですから、保育士の業務負担は変わっていません。保育士にとってみると、ちょっと業務が増えたという話です。保護者は手書きで書類を書いているので、その書類とkintoneの情報を保育士が確認する作業が必要だったのです。この手間を解消するために、園児情報の確認を保護者にやってもらおうと思いました」(吉岡氏)
ただ、毎年紙に手書きして出すだけでも手間なのに、さらにネットでの情報確認をしてください、とは言いづらい。そこで、手書き書類を止めて、入力済みのデータを活かすようにすれば、受け入れてもらえるかもしれないと考えた。

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