2023年9月7日、クラウド型CRMを提供するHubSpot Japanは、AI搭載の新機能「HubSpot AI」の提供開始を発表した。米国ボストンで開催されている年次イベント「INBOUND 2023」で発表された。
HubSpot AIは、生成AIの技術を活用した以下の4つの新機能の総称。マーケティング、営業、カスタマーサービスなど顧客対面部門の生産性やデータ管理の質、パフォーマンスの向上を後押しし、顧客との一段階深いつながりの構築を支援するという。
AIアシスタント：マーケティング、営業、カスタマーサービスチームを支援する生成AIツール。コンテンツの下書き作成、画像の制作、ブログ記事のアイデア出し、Webサイト構築、レポート作成といった作業をわずかな時間で完了できる。
AIエージェント：チャットやEメールなどの顧客対応を自動化し、カスタマーサービスの質を向上させる各種ツール。2024年前半の第一弾リリースを予定
AIインサイト：売上予測など、精度の高い分析や推奨事項を提供する予測AI機能群
ChatSpot：成長企業の生産性向上に貢献する高度な生成AI機能。HubSpotのCRMをはじめとするさまざまなデータソースから情報を取得し、ChatGPTを通じて多岐にわたるタスクを実行できる。現在パブリックベータ版で提供されており、2023年3月のリリース以来、ユーザー数は合計8万人、プロンプトの作成数は週間2万件に達している。
あわせて「Sales Hub」の刷新も発表された。新規案件の開拓やリードに関するレポート作成から取引管理や予測分析に至るまでを支援する最先端の営業ソリューションを開発し、Sales Hubに以下の新機能を搭載した。
営業活動管理ワークスペース：案件創出に向けたアクティビティを一元的に管理する、営業担当者専用の画面。日常業務を整理しタスクに集中して取り組めるほか、緊急度の高いタスクに気付きやすくなる。アクティビティを効率的に管理することで、担当者の業務効率を向上し、顧客との関係構築に集中できるようになる。現在はパブリックベータ版として提供中。
高度なリード管理およびリードレポート：新規案件開拓時のリード管理や追跡、優先順位付けの効率化を実現する。営業とマーケティング両部門に対して豊富かつ一元的なデータが提供され、それらデータの可視性も飛躍的に向上する。見込み客の状態を正しく把握しながらパイプライン管理を効率化し、新規案件開拓を効果的に進めることが可能になる。
「リードレポート」はリードソースや営業によるフォローアップ率などを確認できる。マーケティング担当者は営業へ引き渡したリードの数値的インパクトを確認することができ、営業リーダーは営業担当者がどのようにリードに働きかけているかを把握できる。現在はパブリックベータ版として提供中。また「プロスペクトアクティビティーレポート」ではコンバージョン率やアクティビティ指標などを基に、営業リーダーが担当者による営業活動の成果を包括的に把握できる。
AIを活用した取引管理および売上予測：営業チームは案件の優先度を的確に判断し、その成果を正確に予測することができる。AI売上予測では、HubSpotの予測AIと過去の販売データを使用して、今後の売上を予測する。HubSpotが実施した初期段階のテストでは、AI売上予測を使用した営業チームの一部では売上予測の精度が最大95％向上したことが確認されているという。現在はパブリックベータ版として提供中。
また、取引インサイトでは営業パイプラインと営業プロセスの健全性に関してコンテキストが付与された示唆が得ることができ、営業担当者が簡単に取引の優先順位を付けることが可能になる。さらに取引タグでは事前に設定された条件を基に取引を自動分類して色付きのラベルを付加できる。営業担当者はこのタグを参考に、対応が必要な取引に集中できるという。
ミーティング設定および引き継ぎ／代行の円滑化：経緯を問わずあらゆる商談を適切な担当者にスムーズに引き継ぐことができます。 ミーティングの代理予約が可能になり、インサイドセールスチームと営業チーム間の引き継ぎが効率的に行なえる。さらに、リードフォームによる割り当てを使用すると、Webサイト経由で創出されたリードの属性自動で素早く判断し、適切な担当者に割り当てることができる。現在はパブリックベータ版として提供中
なお、HubSpotとLinkedInの連携も強化される。HubSpotのスマートなCRMとLinkedInのSales Navigatorの同期により、営業担当者は新規案件の開拓や顧客との関係構築、成約に向けた取り組みを効果的に行なえるようになる。今回の開発によりHubSpotのSales HubとLinkedInという2つのデータソース間での緊密な連携が実現する。米国で2023年9月末にプライベートベータ版をリリース予定だが、日本では未提供。
