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山本 敦の「新選! オーディオレポート」 第6回

ソニー「1000X」のワイヤレスイヤホン新旧モデル比較! 買い増しもアリだ

2023年08月18日 19時00分更新

文● 山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

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新旧1000Xシリーズを徹底比較。左が現行のWF-1000XM4、右が新製品のWF-1000XM5です

 先週の「3つの最高クラスを実現! ソニーのワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」に引き続き、ソニー最新のプレミアム・ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」をレポートします。今回は9月1日に発売される最新モデルのM5(マークファイブ)が、現行モデルのWF-1000XM4(マークフォー)から進化したポイントを比較解説します。

 ソニーストアのオンライン直販価格はM4が3万6300円ですが、M5は4万1800円に値上がりしています。5500円アップの価値はどこあるのか?筆者は「5つの進化」に注目しました。

新旧モデル聴き比べ【その1】
バランスのより良い音になった

 ひとつは「音質の向上」です。キモは「ダイナミックドライバーX」とソニーが名付けた、M5専用に開発した音の心臓部を担うドライバーユニットです。ユニットの口径がM4の6mmに対して、M5では8.4mmに拡大しています。振動板中心のドーム部と周辺エッジ部の素材を変えることで、すべての帯域に渡ってバランスの良いサウンドを追求しました。

左がM4が搭載する6mm口径のドライバーユニット。右がM5のために新しく開発された8.4mm口径の「ダイナミックドライバーX」です

 もちろんBluetoothのオーディオコーデックはM4に引き続きLDACに対応。iPhoneでハイレゾ級のサウンドが楽しめるDSEE Extremeによるアップスケーリングも搭載しています。

 M5とM4、新旧機種をXperia 1 Vにペアリングして聴き比べました。Sony | Headphones ConnectアプリからオーディオコーデックはLDACを選択しています。

Xperia 1 VにM5をペアリング。Bluetoothオーディオのコーデックは音質優先のLDACとしています

 M5では何より音楽の一体感が向上しています。M5は同じコンテンツからより多くの情報を引き出し、解像度の高い情景を目の前に浮かび上がらせます。例えばボーカルは輪郭線がさらにきめ細かく、ピアノやエレキギターの音色がいっそう彩り鮮やかです。

 ドライバーが大口径になったことで、ベースやドラムスの低音は一段と肉付きがよくなりました。しなやかなリズムが音楽の足もとをどっしりと支えるので、例えば大編成のオーケストラによる演奏も「この小さなイヤホンが鳴らしているのか!」と思わず息を吞むほどにスケールが大きく、描かれる音場も広々としています。比べながら聴くと、M4はほんのわずかに音の粒の粗っぽさが感じられるところもあります。

 ただ、聴く楽曲によってはM4の特徴が「切れ味の鋭さ」として活きてきます。筆者が好きなロックやポップスの中には、M4の方がより心地よく聴ける楽曲もありました。

新旧モデル聴き比べ【その2】
ノイキャン効果がきめ細かくなった

 M5はノイズキャンセリング機能の消音効果も強化されています。データ上ではM4よりも「約20%のノイズ低減」を果たしているそうですが、比較して聴くと「ノイキャン効果の編み目がきめ細かくなった」ような印象を筆者は受けました。特に人の声と、そこからさらに低い帯域に分布する自動車の走行音、エアコンのファンノイズのように低く、持続的に響くノイズがビシッと抑えられます。

M5にはソニーが独自に設計したオーディオ用チップセットを搭載。左がノイズキャンセリング処理に特化する「QN2e」、右がノイズキャンセリング以外の信号処理を幅広く担う統合プロセッサの「V2」です

 ソニーがM5の消音効果を高めることができた理由が、いくつかあります。内部的には自社設計によるチップのひとつを「ノイズキャンセリング専用」にして、搭載数を増やしたマイクと消音アルゴリズムの制御をより賢くこなせるようになったことが、大きな体験向上を引き出しています。ただ、筆者は本体のデザイン変更が、消音効果の向上にもっと貢献していると感じました。

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