楽天グループは、2023年度第2四半期(4~6月期)の決算説明会を開催。その中でモバイル事業の見通しも語られ、契約数の伸びと設備投資の削減による損益改善についてアピールしたほか、プラチナバンドの割当を受けられた際の今年末~来年初頭での電波発射を目指すことを公表した。
損益の大幅な改善をアピールする楽天モバイル
3年間で3000億円の設備投資を削減 プラチナバンドは大丈夫?
楽天モバイルは、今年6月に新プラン「Rakuten最強プラン」を開始。auローミングによってカバーされる地域も含めて、人口カバー率99%のエリアで高速データ通信無制限であることをあらためて紹介。また、Opensignalのデータでは、調査があった38都道府県中16県でMNO4社中トップの評価であったとする。
一方で、まだまだ他キャリアが強く、ユーザーが特に集中している東名阪の繁華街については、KDDIとの新ローミング契約に基づく、新たにローミングが開始される基地局の詰めが現在進められており、今秋にはサービスを開始。エリアが改善されるとした。
契約者数についても、「0円」終了時の減少からの回復が進んでおり、7月の速報値で491万契約となり、500万契約まで目前となっている。解約率も契約の同月にMNPといった極端なユーザーを除いた場合で1.4%と他社並みに。また、ARPUはデータとオプション部分の成長で徐々に上昇しているとする。
とは言え、収益改善の要因としては、やはり設備投資削減の部分が大きい。新ローミング契約もあり、2023年度だけでも当初計画の3000億円から約1000億円の削減を予定。2023~2025年の3年間の合計で3000億円の削減を目指している。
一方で楽天モバイルは、今秋にも予定されている700MHz帯の新周波数の割当に期待を寄せており、今年末~来年初頭での電波発射の開始も目論んでいる。となると、その分の設備投資も必要となる。ただし、同社のプラチナバンドの設備は既存の設備に新しいアンテナと無線機を取り付け、仮想化された無線アクセスネットワーク(vRAN)のアップデートで対応可能なため、前述の大きく削減された設備投資額でプラチナバンドの展開も可能だとした。
他社からのワンクリック契約での本人確認簡略化の問題視に反論
従来の形での本人確認の厳格化には限界があるのでは
質疑応答では、楽天カードを所持しているユーザーを対象に、本人確認を簡略化して、オンラインでワンクリックで契約が可能(データ回線のみ、音声回線も今後予定)なサービスを開始したことについて、他キャリアトップから犯罪防止の観点から問題があると指摘されている点について質問があった。
それについて楽天グループトップの三木谷浩史氏は、「(楽天カードの部分でしっかり個人確認しているため)ショップよりは厳格にやっている」と反論。「欧米ではクレジットカードによるポストペイはそれでOKとなっている。日本で海外からeSIMが買える中で、本人確認は別の形でやっていくのが有効ではないか。原始的な本人確認の厳格化には限界があるのでは」と疑問を呈した。