業務を変えるkintoneユーザー事例 第194回
kintone開発は「プロジェクト化しない」ことが大事?
2人の「ラクしたい」がみんなに アナログだったIT企業のkintone活用
2023年08月22日 09時00分更新
2023年6月7日、kintone hive nagoya vol.7が開催された。会場はZepp名古屋で、参加者は約500人と2階席まで埋まる活況ぶりだった。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD 2023」に進出する。
今回は名古屋ラストとなるミライコミュニケーションネットワーク 服部百華氏と佐藤修三氏によるセッション「ラクしたい2人と29人」の様子をレポートする。
ITインフラ企業なのにアナログだらけの会社だった
ミライコミュニケーションネットワーク(通称ミライネット)は、岐阜県大垣市に本社を構えるITインフラ企業で、クラウドサービスやデータセンター事業を手掛けている。
「データセンターの仕事は24時間365日で稼働しているので、お客様のところに営業に行くと「ミライネットさんはIT企業だから、業務はシステム化・自動化されてるんでしょう。どうやっているのか教えて」とよく言われます。しかし、我々の会社はそんなことはなく、むしろアナログだらけな会社だったんです」(佐藤氏)
アナログ会社だったミライネットが抱えていた課題は3つ。一つ目が、手書き、印鑑、Excelを多用する業務だ。重要な業務連絡もボロボロのノートでやり取りし、破れたらテープで継ぎ足して使っていたそう。出勤表も手書きで、多数の訂正印が押されている。そして、壊れるExcelファイル。
二つ目の課題はミス防止対策あるあるの2重チェック問題。ミスが起きるたびに、2重チェックして対応するとはいうものの、佐藤氏も服部氏もノーチェック常習犯でミスが減ることはなかったそう。
三つ目は職人技でカバーすることでが業務の属人化が起きていたこと。業務の作業手順が多かったり、転記作業が多かったりと、その人しかできない業務がたくさんあった。
出勤表や電話メモなど、日常業務で必要なことをアプリ化
「そんな中、2019年にトップダウンでkintoneが導入され、当時は、また変な道具を押し付けられたと思っていました。半年ぐらい経った時にまとまった時間を作って、kintoneを触ってみたところ、if関数とプラグインを組み合わせれば、業務を楽にできることに気がつきました。そこから急に楽しくなってしまい、夜な夜な一人でアプリを作り続ける日々が始まりました」(服部氏)
試行錯誤のうえ、いくつものアプリを作った中から、3つを紹介してくれた。まずは、出勤表アプリ。出勤時間と退勤時間を手書きで書いているので、勤務時間を計算する際は電卓を利用するしかない。しかし、訂正印がたくさん押されていることもあり、時間が合わないことが多々あったそう。期限になると提出する側も承認する上司側もお互いにストレスが溜まっていった。
kintoneでデジタル化はしたものの、2020年に作った出勤表アプリはうまくいかなかった。1日1レコードで申請をするようにしたのだが、毎日全社員分の31レコードの承認をしなければならない。もし3日休暇を取ったら、100レコードが積み上がってしまうというわけだ。承認作業に時間を取られる上司の悲鳴が上がり、1ヵ月を1レコードで申請するように改良した。これで上司の承認は月1回で済むうえ、残業時間も深夜早朝の作業時間も自動計算できるようになった。
「出勤表アプリには残業ワーストランキングといった付加機能も付けました。残業が5時間を超えると黄色のハイライトが表示され、10時間超えると赤文字で悪目立ちするようにしました」(佐藤氏)
残業時間を把握できるようになったため、時間調整するようになり、残業そのものも大きく削減できるようになったという。
2つ目が「電話メモ」アプリ。以前は手書きの電話メモにはいつ誰がどんな内容で電話をかけてきたのかをひたすら書き込んでいただけで、データ分析は一切できていなかったという。
kintoneアプリは問い合わせ内容のマスターアプリと入力用のアプリの2つを作成した。マスターには問い合わせの区分やサービスを細かくジャンル分けしたレコードが入っていて、入力用アプリからルックアップしている。これで、電話が来るたびにデータが溜まっていき、どんな問い合わせが多いのか、どの時間帯の電話が多いのか、などの分析ができるようになった。
3つ目が「お客様報告」アプリ。データセンター事業でシステム障害が起きた場合、少しでも早く顧客に報告をする必要がある。以前はその際のお知らせメールの文章もすべて手作業で作っていたという。Wordで作成した文書を紙に印刷し、31人全員で回覧していた。しかも、回覧したはずなのに、内容にミスが残っていてお詫びのメールを再送信するといったこともあったそう。
「元々、サポート部の業務なのですが、障害が起きるとサポート部は手いっぱいになります。今ではこのアプリを使えば営業部や管理部でも作成できるようになりました」(佐藤氏)
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