オープンデータの可能性を模索
── Code for Japan的な世界はどうなんでしょうね。本当は彼らのような人たちも、こういうデータを使って我々の住むところをよくすることを目指しているわけですよね。
田中 清水建設さんのお考えはそういう世界観に近いと思います。データを駆使して、地域に住んでいる人たちの役に立つプラットフォームを提供している。今回は、我々だけではなくて、各地域の教育機関等にも参画いただいて、さらにそこの学生たちも交えて検討をしています。目指している世界は近いと思います。
大村 我々がデータ分析の手法を持っているからこそ、行政や学識、地域の皆さんと議論しよりよいまちづくりを目指せると考えています。ハード整備(都市計画・設計・施工)だけではなく、ソフト分野の観点からもまちづくりにも関わっていきたいという思いがあります。
── そのためにはやっぱり分析に使えるオープンデータの質が大事になりそうですね。
大村 そうですね。たとえば東京都についてはオープンデータをすべてダウンロードして使えるものがあるかなと1つ1つ確認していきました。
── 使えるものって、逆に使えないものもあるんですか?
大村 一通りダウンロードしたものがありますので、見てみますか?
── そうですね。じゃあまずは「東京都OP道路の管理 東京都における国・都・区市町村道の内訳(平成30年4月1日現在)」を見てみましょうか。
── ええ? こういうものもデータとして数えられる世界なのですね。
大村 ということで1つずつ確認していったわけです。
── これもタイトルはすごいんですけど。ハザードマップのデータですかね。
── 本当ですかこれ。
大村 自分で調べるためのデータということなのかなと。
── ChatGPTの新機能で、国勢調査(csv)と、国土地理院のデータ(xls)と、ドン・キホーテの店舗数(html)をマージしてパワポにするということをやってもらったことがあるんですが(「ChatGPTの新機能コードインタープリターに《未来の仕事の全自動化》が見える」)、作業中にChatGPTがずっとぼやくんですよね。「よくわからない行があります」とか「数値データが文字データで入っていたのでどうにかします」とか。結局2時間くらいかかって名寄せはできたんですけど、日本の公開データの実態をずっとChatGPTが指摘していた感じなんですよ。もちろんAPI公開されているデータもあるので、すべてがそうというわけではなく、よい方向に向かっていると信じていますが。
大村 その一方で、「東京都OP平成27年度 全国道路交通情報調査道路交通センサス」というものもありまして。
── おお、これは面白いじゃないですか。
田中 たとえば旅行速度は渋滞がどれだけ発生しているかがわかります。時速15kmを切ると危険とか。あと、大型車両の混入率で道路の劣化状況が変わったりしますね。調査データとしてかなり有用だと思います。
── 「この自治体のオープンデータが良い」とか言うことはないんですか?
田中 私の知る中だと、交通系ネットワークのオープンデータでは、群馬県さんや岡山市さんがいいですね。群馬県さんはバスのデータなども整備しているし、岡山市さんはデータに基づき都市計画を考えるスマート・プランニングの事例で必ず出てくるところだと思います。
── そういう自治体には賞あげればいいんですよ。アメリカはいまだに行政の賞がいっぱいあるじゃないですか。アメリカ国家技術賞とか。
大村 行政オープンデータ賞はいいですね。
── そうしたらみんな競争して出すものもちゃんと見るようになるんじゃないかと。
大村 大きな社会の流れのなかで、オープンデータをはじめとした、街にあふれるデータの活用ニーズが高まっていると思います。我々の「交通・防災・観光データ分析プラットフォーム」も、オープンデータなどとのかけ合わせを検討する必要があり、民間企業だけではなく、産官学民連携により議論することで、データを活用した新しいまちづくりの検討の一助になればと感じています。今後もまちづくりに関係する皆様と、「交通・防災・観光データ分析プラットフォーム」の活用方法を模索していきたいです。
(提供:清水建設株式会社)
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