放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、4K及び8K放送の推進を目的とした記者会見を7月6日に開催した。「4Kボタンを押して、まだ見ぬ輝く世界へ」と名付けられたキャンペーンは、NHKおよびBS民放5社の共同企画。
会見にはスペシャルゲストとして、NHKプレミアムドラマ『大奥』で江戸幕府八代目将軍・徳川吉宗を演じた冨永 愛さんが登場。さらに人気番組「チコちゃんに叱られる!」のスペシャルバージョンとして制作された「新4K8K衛星放送キャンペーン特別編 2」を、7月9日の放送に先駆けて上映した。
また、会見後には先進映像協会 日本部会が開催する「ルミエール・ジャパン・アワード2023」の概要が公開され、今年はA-PABとの共同開催が明らかになった。
チコちゃんが4K8Kについて解説する特別番組
記者会見が始まると、まずは一般社団法人 放送サービス高度化推進協会 理事長の相子宏之氏と、BSフジ常務取締役の荒井昭博氏が挨拶。相子氏は「新4K8K放送開始から4年ほど経った。現在視聴可能機は1650万台を超え、順調に普及している」と現状を報告。また、相子氏は「メディアを取り巻く環境が大きく変化する中、4K8Kがさらに発展するにはコンテンツの充実と、多くのお客様に見ていただくことが重要」と課題を挙げた。
相子理事長の挨拶に続いて、「チコちゃんに叱られる!新4K8K衛星放送キャンペーン特別編 2」が上映された。この番組はチコちゃんが4K・8Kの“K”について紹介する内容。ちなみに、ASCII読者には説明不要かと思うが“K”は“キロ”の略だ。
約15分の番組上映が終わると、ここからはNHKとBS民放5社(BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSテレ東、BSフジ)の編成担当者が登壇し、各局が放送予定の4K・8K番組を紹介するコーナー。それぞれの担当者は従来の2K映像では不可能だった4K放送ならではの魅力や、番組の制作意図を解説した。
冨永 愛さんが語る「大奥」の要注目ポイント
記者会見の後半は、スペシャルゲストの冨永 愛さんが登場。冨永さんが徳川吉宗役として出演していたプレミアムドラマ「大奥」は、7月23日(日)に4Kになって放送される(毎週日曜日 22:00から毎週放送、再放送は7月26日から)。リマスター放送について感想を問われた冨永さんは、「4Kは映像が美しいため、緞子(どんす)や掛け軸などに注目してほしい。映像の奥行きがすごく良くなっています」と語った。
さらに「4K映像の制作現場」について質問された冨永さんは、「4K映像は細かなところがバレちゃうので、美術さんたちが大変そうでした(笑)。現場のモニターで2Kと4Kの違いを確認したが、如実だった。4Kは映像の美しさと奥行きが違います」と感想を述べた。
また、記者からの質疑応答では「4K・8Kで触れてみたい歴史の瞬間は、ペリーの黒船来航。江戸と西洋の違いを映像で見てみたい。ファッションショーを4K・8Kで放送したら、衣装の素晴らしさと重量感が伝わりやすいと思う。私がいままで歩いてきた数々のアーカイブをリマスターして見られたらうれしい」などと希望を語っていた。
ルミエール・ジャパン・アワード2023
4K部門と8K部門はA-PABと共同開催
記者会見の最後は、先進映像協会 日本部会 会長の早稲田大学 理工学術院教授・河合隆史氏が登場し、「ルミエール・ジャパン・アワード2023」の概要を説明した。ルミエール・ジャパン・アワードとは、国内で制作された先進映像に授与される賞。2011年から開催されており、3D部門と4K部門、8K部門、VR部門が用意されている。このアワードに受賞した作品は、米国で開かれるCreative Arts Lumiere Awardsへのエントリー資格を得られる。
これまでルミエール・ジャパン・アワードは先進映像協会 日本部会が単独で開催してきたが、2023年の4K部門と8K部門は、A-PABとの共同開催が発表された。広報・企画部長の南里憲考氏は、「ふたつの団体は、大きな意味で同じ志を持っていると感じていた。何か一緒にできないかと打ち合わせを重ねてきた」と、共催に至った経緯を紹介した。