日本電信電話(NTT)は6月19日、自然な音を聞き分ける人工ニューラルネットワーク(NN)が、音の振幅の変化に対して人間の脳と似た反応を示すことを発見したと明らかにした。
研究では人間が音を認識する際、音の振幅の緩やかな時間変化のパターン(AM)を活用していることに着目。自然な音を認識するように訓練したNNで知覚実験と神経活動記録実験をシミュレーションしたところ、モデル構築時に人間や動物の聴覚特性を考慮していなかったにも関わらず、人間がAMを検出可能な最少限界値と類似する結果を得たという。
また、AM音を学習したモデルとAM構造を破壊した音を学習したモデルで比較したところ、前者の方が後者よりも人間に近い性質を示すこともわかった。
同社は結果について、人間のAM音の検出能力が進化や発達の過程で聴覚が音認識に適応したために獲得できた性質である可能性が示されたと指摘。
あわせて、今回得られた知見が脳の発達、可塑性や「聞こえ」の困難のメカニズムの理解を手助けし、医療や福祉分野における新たなデバイスの開発に繋がることも想定されるとしている。