国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、実船に搭載予定の船舶用4ストロークエンジン実機を使って、アンモニア燃料を80%混焼させる試験を開始した。エンジンの開発はIHI原動機が担当している。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、実船に搭載予定の船舶用4ストロークエンジン実機を使って、アンモニア燃料を80%混焼させる試験を開始した。エンジンの開発はIHI原動機が担当している。 アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないのが利点だが、難燃性、腐食性、毒性などの課題がある。特に、エンジンの燃料として使用するには、燃焼の安定性が大きな課題だった。開発を担当したIHI原動機は、木質チップを原料とした発熱量が小さい低カロリーガスを燃料とするガスエンジンなどを開発して得たノウハウを使い、船舶用4ストロークエンジンでアンモニアを安定的に燃焼させる技術を確立した。 今回の試験ではアンモニア燃料の混焼率は80%で、難燃性のアンモニアを燃焼させるためにA重油をパイロット燃料として使用している。これまでの検証では、燃焼時に発生する排ガスの後処理装置など、周辺設備を組み合わせることで、CO2のおよそ300倍の温室効果がある一酸化二窒素(N2O)と未燃焼アンモニアの排出をほぼゼロに抑えることができているという。 今後約1年間にわたって、さまざまな条件でアンモニアを混焼させ、混焼率の向上や温室効果ガス排出量のさらなる削減を目指すほか、実船搭載時の品質や安全性の確認などを実施する。混焼試験で使用したエンジンはその後、2024年に竣工、商業運転開始予定のアンモニア燃料タグボート(A-Tug:Ammonia-fueled Tugboat)に推進用主機として搭載する予定だ。(笹田)