日本でもカスタマイズ販売を計画中!

ASUS創業者ジョニー・シー会長に世界のPC市場での成功のカギを聞いた

文●ASCII

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OLEDと高性能ノートで日本市場を盛り上げたい

 続いてASUS JAPAN システムビジネスグループ コンシューマービジネス事業部 統括部長 デビッド・チュー氏とASUSシステムビジネスグループ アジア太平洋地域ジェネラルマネージャー ピーター・チャン氏が参加し、日本市場での取り組みなどについてお答えいただいた。

ASUS JAPAN システムビジネスグループ コンシューマービジネス事業部 統括部長 デビッド・チュー氏(右)とASUSシステムビジネスグループ アジア太平洋地域ジェネラルマネージャー ピーター・チャン氏(左)

――日本のノートPC市場では、国内メーカーが強く、モバイル性能が高い薄型のモデルなどを出しています。かなり特異な市場だと思いますが、ASUSどういった戦略で取り組んでいるのでしょうか。

デビッド・チュー氏 おっしゃったように、日本市場はかなり成熟しています。それと同時に今は非常に強いエコシステムもあります。例えば、日本には非常に有名なアニメーションとかマンガ、あるいは映画やドラマだとかがあります。さらにはゲーミングの世界などさまざまな分野で需要が高まっていると思います。我々の戦略としては、このようなニーズを満たすべく、それに合わせた製品も提供することにポイントを置いています。

――日本でいろいろな製品を出されていますが、今後特にさらに力を入れるジャンルはありますか?

デビッド・チュー氏 我々のゴールはもちろん日本だけではなく、やはり世界でNo.1になることですけれども、少なくともAPECにおいてはもうすでにNo.1になっています。日本では今5位ですが、これからどんどん努力して1位に、少なくともベスト3に入りたいと考えています。

 それを達成する上で、スピーディなセグメントが重要になります。最も力を入れる分野がどこかと問われれば、やはりクリエイター向けの製品とゲーミングPCですね。優先順位はこの2つが高いと思います。

クリエイター向けのマーケットは注力分野のひとつ

 我々は常に普通のPCではなくて、特殊な分野で応用されるようなPCとか製品を発売しようと考えています。これからAIを搭載したPCやモバイル製品もこれからどんどん押し出していきたいと考えています。

――ASUSは他社に先駆けてOLED(有機EL)搭載モデルを提供してきましたが、最近は他社も追随しています。今後がどのように進化させていかれますか?

デビッド・チュー氏 OLEDに関して我々は非常に自信を持っています。他社に先駆けてOLEDを搭載したノートPCを多数発売していますので、日本だけではなくて、世界的にもリードしていくと思います。弊社のOLED搭載機は、プレミアムつまり高価な機種ではありません。一般の人でも購入できる価格で発売しています。

 OLEDはラップトップだけではなくて、テレビやスマートフォンでも応用され始めています。これからの浸透率はさらにさらに高まっていくと思われます。これから競争がどんどん激しくなると予測されていますが、我々は早くからこの市場にいますので、他社よりはメリットはあると思います。これからもZenbookやVivobookでは、OLEDを搭載した機種をどんどん発売していきます。

OLED搭載モデルでは高い市場シェアを誇る

――日本のメーカーが海外進出しても失敗というのを見てきたなかで、ASUSが世界市場で高いシェアとなっている理由はどのあたりにあるのでしょうか?

ピーター・チャン氏 ジョニー・シー会長も話していましたが、デザインシンキングが私たちにとって非常に重要な文化です。我々の組織には5000人以上のエンジニアが存在しています。この2つが合わさって我々の成功を導いたのではないかと私は思います。

 今、ASUSはトップ5に入っていますが、最初から最後まですべての要素を有しているPCメーカーはそれほど多くはありません。我々は常にエンドユーザーのニーズを汲み取って理解した上で、このニーズを解決するようなソリューションを提供していけるように戦略を調整しています。これが他社と差別化できる非常に重要な要素だと思います。

 御存じのとおり、アメリカのメーカーや中国のメーカーはどれも規模が大きく、資金力だけでは太刀打ちできません。やはりエンドユーザーのニーズを理解する姿勢が非常に大事だと思います。またそれだけではなく、様々なプロモーションなども行なっており、重要なポイントだと思います。

――特にインド市場でかなりシェアを伸ばしているというニュースがありました。この要因はなにか? ASUS全体の事業において、インド市場の重要性を教えてください。

ピーター・チャン氏 実は私も過去に5年くらいインドに滞在したことがあります。重要なファクターとして、先ほどと同じようにデザインシンキングと商品開発の能力が重要だと思います。日本でも実は同じような戦略をとっています。

 インドも日本もオンライン市場とオフライン市場において非常に複雑なチャンネルが存在しています。みなさん違う手段で買い物をしています。同じく大きな国であることも共通点です。やはり、全てのユーザーにリーチするためには、完全なる戦略が必要です。特に「オンライン + オフライン」での戦略が必要で、このバランスを取ることが重要だと思います。

 そしてなぜインド市場に力を入れているかと言うと、将来ポテンシャルのある国といえば、やはりインド。我々は近年、持続的にインドに投資をしています。インドでは為替の変動とか、政府の不安定に対するデモンストレーションなど、さまざまなことが発生していましたが、それでも持続的に投資をしています。

 インドでのASUSの市場シェアは15~18%ぐらいだと思います。日本でも同じような戦略をとっていますけれども、あまりにも国が違うので、やはり微調整も必要ですね。やはりアジアパシフィックにおいては、インドも日本も重要な大きい指標となっていて、日本は今No.1で、インドはNo.2だと思いますので、これからも持続的にこの2つの国に力を入れていきたいと考えています。

――インド、日本に続いて伸ばしていきたい国はありますか?

ピーター・チャン氏 もしひとつ追加するなら、韓国ですね。韓国の市場もこれからどんどん攻めていきたいと考えています。実はアジアパシフィックの地域においては、もうコンシューマ・ラップトップ・ブランドで考えるとすでにNo.1で、マーケットシェアは20%になっています。

 特にゲーミングPCでは35%のマーケットシェアを実現しています。東南アジアのインドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、シンガポールの5ヵ国において持続的にナンバーワンになっています。日本やインドなどの大きな国でそのシェアを伸ばしながら、東南アジアの国々でリーダーシップを維持できるような戦略を、これからもとっていきたいと考えています。

――ここ数年の間に日本の位置づけというのは、ASUSの中で変化があったでしょうか。

デビッド・チュー氏 日本の市場は常に大きな役割を果たしています。これまでも「EeePC」や「Transformer」などさまざまな商品を出してきました。近年新しい分野がどんどん出てきていて、現在4つの分野においてリーダー的な存在になっています。

 ひとつはノート型のゲーミングPC。そしてChromebookも1位になっています。また有機ELを搭載したノートPCも1位になっています。最後にクリエイター用のPCも今1位になっています。

ゲーミングPCでも世界で高いシェアと認知度となっている

 日本市場は常に進化しています。やはり今ユーザーは何を考え、要求しているのか。たとえば、コンテンツクリエーションをする時のコンピューティングパワーとか、コロナ禍によりオンラインで授業を受けたりリモートリモートワークが増えるなど、人々の生活は激変しています。

 またPCのライフサイクルはどんどん長くなってきていて、その中でコンシューマが求める要素も増えてきているように思います。生産性とか、あるいはそのデータコンテンツの作りやすさ、バッテリーの寿命も要求されるようになりました。これからも、変化するニーズに合わせるべきだと思っています。

――社会情勢の変化でコストが重視されるようになってきていますが、コストを求める市場に対してどのように対応していかれますか?

ピーター・チャン氏 去年のアジアパシフィックの地域においては、全体的な需要が6%も低下しましたが、市場が萎縮している中でも我々の成長は持続的しています。価格競争はもちろんありますが、ASUS自体は昨年11%の成長を実現しました。

 つまり市場より17%も売り上げがいいということになります。それはコストリダクションによるものかといえば、必ずしもそうではありません。今は消費者が負担できるようなパソコンをどんどんローンチするのは重要なことですが、市場にかなりの萎縮も見られているので、やはり長く使えるPCの需要が高まっているという現象が起こっています。

 我々は消費者に対して長く使えるPCを提供することによって、1年あたりのコストがかえって安くなっているという考え方をしています。

 最近、新しいセグメントもどんどん生まれてきて、有機EL搭載、クリエイター用、ゲーマー向けなどがその戦略の代表です。つまり新しい市場を3つ見つけ出して、価格競争を避けながら長く使えるような優れたPCを提供することが、ひとつの戦略だと思います。

魅力あるプレミアムモデルを長期間使ってもらうことで、トータルでのコストパフォーマンスを高めている

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