「女優ミラー」が便利でした
「女性はよく知っているけど男性はよく知らない」、あるいは「男性はよく知っているけれど女性はよく知らない」と言われがちな商品ジャンルがあります。
最近は、そんな思い込みの範囲は狭まりつつあるでしょう。たとえば、化粧品や肌のお手入れグッズなどは、男性も化粧をすることが珍しくなくなったので、以前より多くの人たちに知られるようになりました。
そうはいっても、ショッピングサイトで見つけると「こんな便利な製品があるのか!」と個人的に感心することもあります。
今回、紹介するのは「LED付き卓上拡大鏡」です。「な~んだ、そんなの昔からあるじゃん」と思う読者もいるかもしれません。しかし、光学技術や製造技術などが進み、鏡の拡大率や小型化、LEDも進化して驚かされるばかりです。
それもそのはず、こうした鏡は別名「女優ミラー」(ハリウッドミラーとも)と呼ばれているそうで、一定の需要があるのです。芸能人やモデルの控室には、鏡の周りにライトがついた照明付きミラーがあるもの。ライトで照らすことで、肌やメイクの微妙なニュアンスをチェックできるわけです。
筆者はテレビ出演やインタビュー撮影など、照明が当たるステージに立つ職業。そんな理由から、化粧道具に詳しいほうだと思っています。それでも、知らないことがたくさんあります。今回の卓上拡大鏡も友人に激しく勧められるまでは、存在は知っていましたが、使うのは初めてでした。
衝撃の体験。経験して初めて気がつくこと
LED付き卓上拡大鏡ですが、未経験の人が覗き込んだら最後、「うわっ! こんなにヒゲの剃り残しがあったのか? こんなに鼻毛が伸びていたのか?」と驚くはず。筆者も、普通の鏡では気がつかないことばかりでショックを受け、反省と後悔をしたほど。
使い始めれば、髭の剃り残しや、(撮影用の)ファンデーションの塗りムラなどもすぐにわかりますから、時間の節約にもなり、今では必需品になっています。
カメラの解像度が増すに従い、化粧品も変わってきた
数年前、NHKで本番前にメイクをしてもらっているとき、メイク担当の人に「SD放送の番組ですか? それともハイビジョンですか?」と質問されたことがあります。
SD放送とは「スタンダードディフィニッション」、標準画質放送のこと。画素数で表すと720×480相当。当時は、ハイビジョン放送(HD放送。1280×720画素)とSD放送が混在していた時代でした。
その当時はHD用の化粧品とSD用の化粧品が違っていて、HD用のファンデーションは細かい粒子が使われていると教えてもらいました。
4Kテレビに買い替えたら「テレビ画面に映る、芸能人のシワや毛穴が気になった」と感じた方も多いのではないでしょうか。もしかすると、それは4K用のメイクではなかったのかもしれません。時代とともにメイクや化粧品も変化するのです。
ビデオ会議が当たり前になり、PCに接続するウェブカメラなども高画質になりつつある現在。常に完璧なメイクをしなければいけないわけではありませんが、今どきのライフスタイルにおいては、老若男女を問わず、鏡で身だしなみを確認する必要に迫られるかもしれません。
値段も手ごろ、多機能になったLED付き卓上拡大鏡
鏡は、あまり買い換える製品ではないでしょう。筆者が初めて買ったLED付き卓上鏡は、10年ほど使ったかもしれません。当時の価格はおよそ2万円、卓上鏡としては高価な部類です。
しかし、使い過ぎたせいか、LEDがだんだんと暗くなり、チラつきが出始めました。自分で修理するなどしてだましだまし使ってきましたが、ショッピングサイトでUSB-Cで充電できる新しいタイプを発見。
「MILPROX ライト付き化粧鏡」(Amazon.co.jpで3480円)を、自宅用と、仕事先でのメイク用に2つ購入しました。
「MILPROX ライト付き化粧鏡」のスペック
○拡大率 拡大鏡の拡大率は高すぎても使いづらいし、拡大率が小さくても物足りません。用途にもよりますが、筆者のように電気シェーバーを使った髭剃りや鼻毛、眉毛チェックには5倍ほどがオススメです。MILPROX ライト付き化粧鏡は、1倍と5倍の両面タイプです。
○LED MILPROX ライト付き化粧鏡は、光を寒色、中間色、暖色と3つのタイプ、それぞれの光の強弱を切り替えられるタイプ。寒色は白い蛍光灯に近い色合い、暖色はオレンジっぽい光で、夕陽や電球の色合い、中間色は両方を混ぜた光です。
LEDの使い分けですが、テレビ局の明るいスタジオやフラッシュを使った写真撮影、晴れた日の外ロケなどの場合は、寒色を使えば撮影される色合いに近く鏡に写ります。夜のパーティーなら暖色で鏡をチェックすると実際の色合いに近くなります。日中の室内なら中間色がピッタリです。
ポイントは、肌の色や服の色は、さまざまな場所の環境光によって違って見えることを知っておくこと。
洗面所ではなく、PCの横に鏡を置く新しい選択肢
今回購入した鏡は、USB-Cで充電できるので、洗面所ではなくPCの側に置いています。充電式のワイヤレスなので、もちろん洗面所に持ち運んで使うことも可能です。ただし防水機能はありませんので、浴室や水のかかる場所などでの使用はできません。
小型で軽量なので、普段はPCの後ろの棚に置いておき、家を出るときや、ビデオ会議などの前に、身だしなみのチェックとして鏡を覗くようにしています。洗面所ではなく、PCの横に鏡を置くというのは、筆者にとっては新しい選択肢です。
LED付き卓上拡大鏡をPCの近くに置いておくことで、筆者のライフスタイルが少し変化しました。仕事の環境が変わり、リアルに人と会う打ち合わせより、ビデオ会議が増えたせいもあるでしょう。作業の空き時間に鏡を覗き込み、顔をチェックできるようになったのです。洗面所に移動する必要もありません。
さらに、安価になり選択肢が増えたことで、持ち出し用・自宅用と複数購入できるようになったのも嬉しいです。
筆者のようにフリーランスではなく、オフィス勤めの方にとってはPCの横に卓上鏡を置くのは難しいかもしれません。しかし、自宅のPCでの仕事が多い方、リモートワークが多い方などには、意外と便利な商品でしょう。
初めての方は、一番最初に鏡を覗き込むのに少し勇気が必要かもしれませんが……。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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