丸の内LOVE Walker総編集長・玉置泰紀の丸の内MEMO 第4回
丸の内LOVE Walker総編集長・玉置泰紀の丸の内MEMO 第4回
まさしく熱狂の日! クラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ」初日を楽しんできたぞ!
4年ぶりの開催となる世界最大規模の音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」(2023年5月4日、5日、6日開催)の初日である5月4日、メイン会場の東京国際フォーラム(有楽町)に行ってきた。天候にも恵まれ、コロナ禍の厳しい時期には考えられないような賑わいを見せ、有料コンサートも、無料ステージも多くの人に溢れ、街も新しいフェーズに入った。
特にラ・フォル・ジュルネの特徴は子どもたちが多いこと。一般的なコンサートでは敷居の高いクラシックだが、この音楽祭は、赤ちゃんでもOKのプログラムなど、ファミリーで楽しめる。基本は45分構成で、料金も格安ということもあり、気楽に楽しめるのが大きい。今年のテーマは「Beethoven - ベートーヴェン」だが、ラテン・アレンジで手拍子が出来たり、アンバサダーのロケットマン、こと、ふかわりょうさんが、クラブ・アレンジでクラシックの名曲を無料で楽しめる地上広場キオスクステージで披露するなど、まさに”熱狂の日”ならではの盛り上がりになった。
子供たちもOKのコンサートからラテン・ベートーヴェン、さらにはROCKETMAN(ふかわりょう)のクラシックDJ、渋さ知らズオーケストラまで
初日は、東京国際フォーラムで一日を過ごし、コンサートを二つ、また、地上広場キオスクステージでグルメやイベントを楽しんだので、筆者の見たラ・フォル・ジュルネを早速リポートするぞ。
【キッズのためのオーケストラ・コンサート ベートーヴェンの喜怒哀楽】
角田鋼亮氏(指揮・お話)、日本センチュリー交響楽団
5月4日 10時15分〜11時。ホールA
世界有数の5012席を誇る大ホール、ホールAが、子供たちを連れたファミリーで満席に。ホール内は照明が落とされず、明るくなっていて、膝の上に、子供を乗せた親御さんが目につく。コンサートはベートーヴェンの代表曲の一つ、交響曲第7番から始まり、第一楽章を「喜」、第2楽章を「哀」として紹介。曲の合間に、マイクを持った指揮者の角田氏が子供たちに向けて、ベートーヴェンについての説明や、曲に込められた感情の説明を行った。珍しい、シュルホフ編曲の「ロンド・ア・カプリッチョ ”なくした小銭への怒り”」を「怒」で紹介するなど、工夫を凝らし、最後は、劇音楽「アテネの廃墟」からトルコ行進曲を紹介。太鼓やトライアングル、シンバルを持った演奏者3人が部隊を横断するという楽しい仕掛けも。終了後は、舞台の演奏者と観客の家族で交流もあった。
【ハバナのベートーヴェン】
ヨアキム・ホースレイ・カルテット(クラシック&ラテン音楽のフュージョン・ピアノ)
5月4日 15時〜16時。ホールC
ヨアキム氏は、アメリカ出身のピアニストで、映画/TV音楽作曲家として活躍している。幼少期にピアノを始め、青年期にジャズに心酔。後にポップス、ロック、ラテン音楽等を独学で吸収した、という。ベートーヴェンの第7交響曲をルンバ風にアレンジした動画がYoutubeで大ヒットし、以来、大作曲家たちの作品を様々にラテン音楽と融合させる試みで人気を博している。舞台では、ベースのダミアン氏、パーカッションのナターシャ氏、ドラムのトマ氏と丁々発止の演奏を披露。ベートーヴェンだけでなく、シューベルトなどの作品もアレンジ、キューバやマルティネクなど、さまざまな地域のラテンの世界に楽聖たちが生まれていたら、というパラレルワールドを楽しませてくれた。クラシックのコンサートで、これだけ手拍子が出るのはニューイヤーコンサートぐらいだろう。
【キッチン・カー 帝国ホテル】 地上広場
ラ・フォル・ジュルネには、レストランやカフェのほかにも、多くのキッチン・カーが集結しており、食べるのも楽しみ。ラグビーのリーチマイケル・コーヒースタンドやワインショップ・エノテカで、おいしいコーヒーやワインも楽しめるが、昼ご飯は、帝国ホテルのキッチン・カーにした。メニューは帝国ホテルといえばで、私の大好きなビーフストロガノフに、ベートーヴェンが好んだマカロニチーズを添えたものと、赤ワイン。外で食べるのが、また楽しい。
【プチョヘンザ☆クラシック】
ROCKETMAN(ふかわりょう)
5月4日 11時45分〜12時15分。地上広場キオスクステージ
ふかわりょう氏は、ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023 アンバサダーで、2020年にもアンバサダーを依頼されてフランスのナント市も訪問していたのだが、新型コロナウイルスの影響で開催中止となってしまい、今回はそのリベンジの意味も込めたアンバサダー就任となった。この日は、ROCKETMANとしてクラシックの名曲をクラブ・アレンジしたDJショーを繰り広げた。
プチョヘンザとは、ヒップホップのライブなどで使われる言葉で、英語の「Put your hands up」を日本語で表記したもの。「手を挙げろ」や「盛り上がろう」といった意味を持つ。サウンドチェックと称して、実際には11時半ごろからスタート、50分余りの熱狂ショーを繰り広げ、会場の子供たちも踊りまくった。コンセプトは”ベートーヴェンとゆかいな仲間たち”と言うことで、パッヘルベルやバッハからホルストやボロディン、ラヴェル、エルガー、さらには、ロックバンドのクィーンまで、誰しも聴いたことのある名曲がテクノアレンジされていくが、盛り上がったのは、テオドール・エステンの「夢を見ているところ」。これは実は、湯沸し器の「お風呂が沸きました」で知られているメロディ。
【波乗りベートーヴェン】
渋さ知らズオーケストラ
5月4日 16時45分〜17時15分。地上広場キオスクステージ
地上広場の出演者は当日発表のサプライズが基本で、この日は、なんと、夜の有料コンサートに出演した渋さ知らズオーケストラ(脱ジャンル音楽パフォーマンス集団)が登場。渋さ知らズオーケストラは、フリージャズをベースに、ロック、フォーク、歌謡曲など様々な要素が混在し、ジャンル分けを拒む音楽が特徴。ステージはミュージシャン、舞踏家、ダンサー、パフォーマー、映像などが入り組み、渾然一体となる演劇的祝祭感のある空間を創出し、国内はもとより、国外でも欧州各国などで高い評価を受けている。
このサプライズ出演も、やはり、サウンドチェックと称して、16時半前にはスタート、たっぷり50分以上の大興奮ステージを展開し、地上広場の人たちを釘付けにした。渋さ知らズオーケストラの代表曲を連打しながら、最後はベートーヴェンの運命。民衆のためのクラシックには俺たちが必要だと祝祭感を盛り上げた。
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023
テーマタイトルBeethoven - ベートーヴェン
・会場 東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、日本橋、日比谷
・期間 5月4日~6日
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