Wi-Fi 6Eルーターの本命が登場
Wi-Fiの周波数帯は、これまで2.4/5GHz帯を利用してきたが、それに加えて6GHz帯が昨秋に開放され、名称もWi-Fi 6からWi-Fi 6Eと改められ、対応機器が続々と登場している。
そうしたなか、パッファローがフラッグシップモデルとしてWi-Fi 6Eに対応した「WXR-11000XE12」を5月上旬に出荷すると発表。すでにバッファローではWi-Fi 6Eに対応したモデル「WNR-5400XE6」が発売されているが、満を持してフラッグシップモデルを投入することになる。実売価格は5万円前後で、すでに出荷が開始している。
外観デザインはWi-Fi 6対応の「WXR-6000AX12P」と同じだが、アンテナは6GHz帯が加わり、2.4GHz、5GHzとともに4本ずつ搭載されている。理論値として最大通信速度は6GHz帯と5GHz帯が4803Mbps、2.4GHz帯は1147Mbpsとなっていて、ストリーム数は各周波数帯で4つずつ、計12ストリームとなっている。
そそり立つ4本のトリプルバンドダイポールアンテナは、指向性があるので向きによって電波の強さや届く距離が変わってくる。同梱のマニュアルにもアンテナの設置のしかたも用意されているので、それを参考にアンテナの角度を調整するといい。
サイズはアンテナを除いた場合、300(W)×70(D)×195(H)mmで、重量は約1515g。電源はACアダプターで、同梱されるLANケーブルはカテゴリー6Aのフラットタイプで長さは2mある。
WANポートとLANポートの1つが10Gbps対応のため、NTT東日本・NTT西日本「フレッツ 光クロス」などの最近増えてきた高速通信回線をフル活用できるようになっている。
LANポートはあと3つあり、そちらは1Gbpsとなっているので、接続機器によって割当を変えるといい。インターフェースは、ほかにもUSB 3.2 (Gen 1)ポートも備えており、ストレージを接続すれば簡易NASとして利用できる。
CPUは2.6GHzクアッドコアを採用。また、ケーブル側のアナログ信号とMAC側のデジタル信号とを変換するPHYデバイス間は、専用のPCIeレーンを用意することで、無線の理論値に対して十分に高速なバスを持たせている。
また、簡単にメッシュネットワーク環境を構築する「Wi-Fi EasyMesh」にも対応。本製品を含め、対応するWi-Fi中継機を利用することで、より部屋の隅々まで高速通信を可能にする。
さらに、セキュリティまわりでは「ネット脅威ブロッカー2プレミアム」のベーシック+プレミアム機能1年間無料ライセンスが付与されており、本サービスを利用すれば外部からの不正な遠隔操作やマルウェアによるデータの流出などを防げる。
そもそもWi-Fi 6Eって何がいいのか
Wi-Fi 6Eは、6GHz帯が加わったことで通信できる帯域が大幅に広がったが、何がいいのかざっくり説明しよう。まず2.4GHz帯は、電子レンジやBluetoothなどでも使用されているため、この帯域を使ってルーターと通信すると帯域が被る。そのため、電子レンジやBluetooth機器を使用していると、Wi-Fi通信が停滞することがある。
一方、最近主流の5GHz帯は、通信速度もギガビットを超えるまでになっているが、航空レーダーや気象レーダーの帯域と被り、それらの電波をキャッチすると、自動的にチャンネルを変更する仕組みになっている。
筆者宅もおそらくそういった地域で、通信が滞ることもあり、あまり安定しない。2.4GHz帯に比べれば全然速いが、最近は利用者も増えてきているので、近所でも同じ帯域を利用していると思ったほどの速度が出ないこともある。
しかしながら6GHz帯は、ほかの通信と被る帯域がなく干渉が起きないため、5GHz帯のようなチャンネルを切り替えることなく利用できる。
また、チャンネル数も増えたため、近所でも6GHz帯を使ったルーターがあっても、干渉せずに利用できることが期待できる。ただし、5GHz帯に比べて電波が遠くへ届きにくくなるため、家全体で6GHz帯の方が速くなるというわけではない。
もちろん、端末側も6GHz帯に対応している必要がある。昨年発売のパソコンならすでにWi-Fi 6E機能を内蔵し、バージョンアップによって開放されるケースも多い。まだ利用者数が少ないので、いまなら安定して高速利用できるチャンスでもある。