NTTドコモは、「5Gネットワーク戦略説明会」と題する記者説明会を開催。同社ネットワーク部長の引馬章裕氏が、5Gネットワークの現状、取り組みについて紹介した。
その中で、ここに来てSNS上で見かける機会が増えた、渋谷や新宿といった都内主要ターミナル駅を中心に、ドコモネットワークが「速度が遅い」「アンテナが立っているのにデータが流れてこない」といったユーザーの声に対する、ドコモの対策について説明がなされた。
SNS上での声を受け止めて、対策を進める
まず基本となるのが、より多くデータを流せる5Gエリアの拡大
引馬氏は、「都市部の混雑する時間帯で通信速度が低下する事象が発生していることは認識している」と、前述のようなネット上の意見を把握しているとする。また、その要因については、増大を続けるトラフィック、再開発によるエリア変動(基地局の撤去や新しいビルの建設による特定の場所でのトラフィックの増加)、特定の周波数が逼迫している点を挙げた。
こうしたトラフィックの増大によるドコモの対策は、「瞬速5G」の拡大を第一として進めている。「瞬速5G」は5G専用に割り当てられた周波数によって構築された5Gエリアを指す。これらの周波数は4Gと比べて帯域幅も広く、ずっと多くのデータトラフィックを処理することができるため、なによりの解決策となりうる。
5Gをすぐに展開できない基地局も今夏までに対策
パラメーターのチューニングでトラフィックを分散する
一方で、すぐに「瞬速5G」を構築できない基地局があることも事実。そこで過渡期としての取り組みも今夏までに実施する。
具体的な対策としては2つあり、1つ目はカバーエリア調整。パラメーターのチューニングにより、4Gのみで逼迫気味の基地局よりも、それに隣接している「瞬速5G」を展開していてトラフィックに余裕がある基地局に繋がりやすくするというもの。
もう1つは「さらなる分散の制御」。屋内では端末が電波が飛びやすい800MH帯をつかむことが多く、それによって800MHz帯が逼迫し、結果としてデータ通信がしにくい状況が発生しているという。そこで他の周波数が繋がる場所であれば、やはりパラメーターのチューニングで800MHz帯をつかみにくくするなどして、複数の周波数でトラフィックを分散するようにする。
こうしたエリアチューニングの継続的な実施と5Gエリア拡大の2本柱で、トラフィック対策を進める。
なお、質疑応答では「5Gギガホ プレミア」や「home 5G」といった、無制限プランの増加がトラフィックの逼迫につながっているのではないかという質問がなされたが、無制限プランのユーザーが使っている通信量が多いため、それによってトラフィックが順調に伸びているのは事実としながらも、特に「home 5G」については設置場所を把握して対策もしているため、それが理由ではないとした。