丸の内初心者がエモいセンサーで巡る!「昭和レトロさんぽ」 第2回

まるで洞窟!? 岩に包まれる静寂の穴場カフェで優雅なお一人様ランチ♡

文●丸の内LOVEWalker

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 丸の内エリアの古き良き昭和レトロなスポットを、一人遊び好きな「LOVE Walker」女子編集部員クルミ(26)が実際に巡り魅力を深掘りする本連載。

 第2回目は、有楽町駅前のモダン純喫茶「ストーン」に訪れました!

記事をお届けするクルミです! 2回目も気合を入れてお届けします!

今回訪れた「有楽町ビルヂング」のエントランス。「ヂ」の表記とレトロなフォントがなんとも可愛らしい♡ お店の外観は、気にしなかったらスルーしてしまいそうな一見バーのような大人な雰囲気です

見渡す限り石造りの空間で食べるキュートなランチメニューにイチコロ♡

 有楽町駅至近の「有楽町ビルヂング」。建設当時の1966年、地下5階地上11階建てのオフィスビルは日本最大規模として注目を集めました。現在は、ショッピングフロア、レストラン、お笑い劇場「よしもと有楽町シアター」まで入居していて、観光地としても多くの人々に利用されています。半世紀以上経ち、今や歴史的建造物としても知られるこちら。しかし実は、2023年中に、再開発のため閉館することが決まっているんです。

 そんな「有楽町ビルヂング」で、取り壊しを前にぜひ一度は行っておくべきなのが、正面入り口から真っ直ぐ進んでいくとすぐに現れる喫茶店「ストーン」です!

石に包まれる空間になんとも安心感を感じる店内。お昼前から、サラリーマンや常連客などがちらほら。静かに読書をする学生くらいの若いお客さんもいました

 ビルの開業と同時にオープンしたここ。中に入るとまず驚いたのが、壁や床がすべてデザインされた石造りだということ。「なんだここ、まるで洞窟みたいだ!」と思いつつ、下に目をやると、モザイク手法が取り入れられた白と黒のタイルが床に敷き詰められていて、モダンなテイストも感じます。ビルのテナントとは思えない超個性的な空間に一瞬で引き込まれてしまいました♡

 聞けば、現在の店主奥村さんの祖母が、実家が営む石材店の石を使用してショールームを兼ねた喫茶店を始めたのが始まりなんだとか。なんと国会議事堂の一部も手がけたほどの有名店だったのだそう。

思わず触れたくなる、長年の歴史を感じる御影石の壁。ゴツゴツした質感がなんか落ち着く〜

モザイク手法が使われたタイルはヨーロッパの広場の床のよう。職人さんが一つ一つ手作業で石を埋め込んでいて、微妙に形や向きが異なっているんです。まさに匠の技!

天井にあるお菓子のオ◯オみたいなオブジェは、防音効果のあるカーペット素材なのだとか…!

3代目店主の奥村さんのファーストコンタクトの瞬間。お店の歴史とメニューのオススメを聞いています。ちなみに彼女手書きのメニューボード、味があって個人的に好み♡

 お話を聞いているとランチタイムに。お腹が減ったので、奥村さんにオススメを尋ねると、「ミックストーストサンド」と「フルーツサンド」とのこと。若いお客さんにも人気らしいので、早速注文してみました!

運ばれてくると同時に、焼けたパンの香ばしい香りがふわり。写真を見ただけでも思い出せる…!

 まずは、3種類の味を楽しめる「ミックストーストサンド」、から。具材がたっぷり詰まったボリューム満点のメニューです。色とりどりなプレートを眺めると、なんだかピクニックを思い出して気分が高まりました!

 ああ〜どれから食べようかなと迷いつつ、玉子サンドからパクリ。少しふわふわの食感が残る絶妙なトースト加減、そしてマヨネーズ少なめで玉子の味がダイレクトに感じられる風味がふわぁ〜っと広がり、口福の極み♪ 次の一切れに自然と手が伸びていまいます。

 ありがたいのは、四角型でひとつまみで持てる食べやすいサイズ感。1人でもペロっと完食できる量ですが、シェアして誰かと美味しさを分かち合いながら食べるのもいいなと思いました。

この一切れの具材はハムのみ。これがまた美味しいのです。シンプル・イズ・ベスト!

 さてお次は「フルーツサンド」を堪能。真っ白でふわっふわのパンにバナナとパイン、そしてたっぷりのクリ―ムが美しくサンドされています♡ 縦と横が交互になっている盛り付けも、映えポイントです!

上から見ても横から見ても可愛いな〜コイツは♡

 お皿やカップのテイストとマッチするフォークまでもがキュート。お行儀よくフォークを使って食べようと思いつつも、早く食べたい一心でたまらず手で鷲掴み。思いきりかぶりついてしまいました(笑) あと、こっそり教えちゃいますが、通し営業で特にランチタイム設定がないので、実は駅至近なのにお昼時でもそれほど混みません。ゆったりとしたランチを堪能できちゃいますよ。

「バナナとパインって、相性いいんだ!うまぁ…」としみじみな私(笑)

見てください、この溢れんばかりのクリームを!フルーツ好きの方にはもちろん、クリーム好きにもたまらないです♡ こちらもぺろりと完食。最後に深入りのコーヒーでお口を整えました

長い歴史があるからこそ、新しいモノも受け入れる度量がある。ハイブリッドの極意

 超素敵な店内で絶品ランチを食べて、どんどんお店にハマっていく私。ひとつ面白いなと思ったのが、店内にスタイリッシュな照明や椅子、アメリカンな雑貨がバランスよく散らばっているところです。

 奥村さんに伺うと「実は、このお店を引き継ぐ時、私はもっとオシャレでイマドキなカフェに憧れていて」と意外なコメントが…!

 以前はお客さんのほとんどがサラリーマンやご年配の方だったので、もっと広い世代のお客さんに来てもらいたいということから、彼女好みの要素をいろいろ取り入れてみたところ、すごくマッチしたのだと言います。

床から生えるように設置されているテーブルはオープン当初からあったもの。奥村さんが取り入れたのは白と黒の椅子。それまで椅子は全て真っ黒だったそうなのですが、白も採用したことにより、カフェっぽい軽快さがプラスされたのだとか

英語が散りばめられた照明も奥村さんチョイス。上下から漏れ出る光の形と石壁のラインがマッチ。照らされた石が表情豊かに感じられますね

アメリカンなテイストのコカ・コーラの雑貨や冷蔵庫も違和感なく馴染んでいます

 「最近ではだんだんレトロが流行ってきて、わざと古さを作る商品やお店があるけど、このお店は見せかけじゃない、しっかりとした本物の歴史があるからこそ、ちょっと新鮮なテイストも受け入れてしまえる度量があって、うまくミックスできたんだと思います。それもこれも、初代オーナーの祖母がここまで特徴的な店内にしてくれたおかげ。普通はこんなにダイナミックな内装は避けて、ちょこちょこ改装したり移転できるように作ると思うんですよね。でもそうしなかったのは、ビルとともに長く営業することを決めていた証拠だと思うんです。そんなことを思うと、今ではこの昔ながらの内装がとっても気に入っているんですよ」と語ってくれました。

 昔ながらを活かしながらもモダンなテイストを取り入れたハイブリッドな空間。これがストーンの大きな魅力のひとつなんだと気付きました。

年季の入ったメニューとともに渡されたお水のコップも、厚くなっている飲み口のデザインがオシャレ

 お伝えした通り、こんなにも魅力がたくさんある「ストーン」。今年閉店してしまうだなんて信じたくありません(泣)。取材中、「今までなんで知らなかったんだろう、来ておけば良かった」と後悔が尽きませんでした。

 しかし最後には、「閉店後、時期は見えていませんが丸の内近郊のエリアでお店は続けるつもりです!」という力強いコメントを奥村さんから聞くことができました!

 内装は変わってしまうかもしれないけど、この空気感は引き継がれると嬉しいですね。でもその前に、もちろんまたすぐに行きます!

 これにて第2回目の「昭和レトロさんぽ」はおしまい。さて次はどんなステキな場所に行こうかな。

最後に奥村さんとツーショット♡ コーヒーに関連するものを毎日身に付けているそうで、この日は「NO COFFEE NO FRUIT」と書かれたロンTとニット帽。キュートでお似合いですねっ♡

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