東日本旅客鉄道(JR東日本)は4月4日、交通系ICカード「Suica」の改札システムを変更すると発表した。これまでの自立分散型システムから、センターサーバーを中心としたシステムに改める。
運賃計算処理を改札機からセンターサーバーへ移行
現行のSuicaでは、鉄道利用時の運賃計算処理を各駅の自動改札機が担当。各カードの利用状況は、自動改札機から駅のステーションサーバーを介してセンターサーバーへ共有する仕組みとなっている。
現状の仕組みのメリットは、サーバーダウンや通信障害が発生しても最低限の改札機能を維持し、利用者への影響を最小限に抑えられること。
しかし運賃計算を末端の改札機に頼っているため、運賃改訂や新しい切符を導入するたびにすべての自動改札機の運賃計算プログラムを書き換える必要があり、柔軟な運賃設定がしづらいというデメリットもあった。
今回のシステム変更では、運賃計算の担当を自動改札機からセンターサーバーへ変更。より複雑な運賃計算に対応できるようになるほか、改札機通過時の処理速度も向上するという。
ユーザーに直接関わる部分では、企画乗車券(フリー切符など)や割引クーポンに関する仕組みも改善される。
これまでSuicaを使った企画乗車券等は、Suica内部のチップに情報を記録しており、1枚のSuicaに同時に1つの情報しか保存できなかった。
新システムではこうした情報をセンターサーバーで保管できるようになるため、Suica側の記憶容量に縛られない、より柔軟な運用が可能になるという。
また、複雑な運賃計算が可能になったことで、これまでエリアを跨がった利用ができなかった関東・東北・新潟の各Suica対応エリアを統合。茨城県の水戸(関東エリア)から常磐線で仙台(東北エリア)へ抜けるようなルートでも、Suicaでそのまま乗り通せるようになる。
JR東日本では今後、5月27日に青森・盛岡・秋田エリアへ新システムのSuicaを導入。それ以外のエリアも2023年夏以降、新システムへ切り替える予定だ。
Suicaを巡っては、4月4日昼頃、決済サーバーのダウンが原因で一時決済機能が利用しづらくなるトラブルも発生しているが、鉄道利用への影響はなかった。