米国連邦預金保険公社(FDIC)は3月10日(現地時間)、シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し事業を停止したと発表。
3月12日(現地時間)には、米財務省、米連邦準備制度理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)が、すべての預金者を完全に保護する措置を承認する声明を出し事態の収集を図っている。
世界の金融市場で動揺が続く
米国での銀行の経営破綻は2020年10月のカンザス州アルメナ州立銀行以来。
2022年末時点でのSVBの総資産は全米で16位にあたるおよそ2090億ドル(およそ28兆円)。米銀の破綻では、2008年9月のリーマンショックで破綻した当時総資産3070億ドルのワシントン・ミューチュアルに続く2番目の規模となる。
カリフォルニア州サンタクララに本拠を置くSVBは、土地柄からスタートアップとの法人取引が中心となっており、新型コロナ禍以降の金融緩和により大量の資金が流入した。
SVBは資金の運用を米国債などの有価証券に充てていたものの、2022年からのFRBの政策金利引き上げによって債券価格が大きく下落、次第に含み損が拡大していき今回の事態となった。
SVBは中国やドイツ、インドなど世界各国にも支店を開いており、破綻の影響は世界中のスタートアップ企業に広がりを見せている。
また、経営破綻による米金融市場の動揺はドル・円相場にも影響を与え、13日早朝の外国為替市場では一時1ドル=133円台半ばとおよそ1ヵ月ぶりの円高・ドル安となった。
預金は保護するも税金負担はなし
預金者保護の発表を受け、非保険預金の預金者を含むすべての預金者は、13日より資金にアクセスできるようになる。
なお、12日に経営破綻したニューヨークのSignature Bankについても同様の措置を行ない、この決定に関連する損失を税金で負担することはないとしている。
声明文でジャネット・イエレン財務長官は、「この措置により、米国の銀行システムは、強固かつ持続可能な経済成長を促進する形で、預金の保護や家計や企業への信用供与という重要な役割を果たし続けることができる」と語っている。