日本電気株式会社
~NEC玉川事業場でリビングラボの手法による実証を開始~
NECは、ローカル5Gの無線品質をAIで分析し、通信性能(スループット)が低下した原因を即座に特定して迅速な対処を可能とすることで、電波環境の変化やアプリケーションの通信性能要件に柔軟に対応できる、学習型無線品質分析技術を開発しました。また、自社の玉川事業場(所在地:神奈川県川崎市)内に設置したローカル5G環境でリビングラボの手法による実証を開始しました。
従来の広域ネットワークでは、サービスのエリア毎に通信性能を平均的に向上させる取り組みが進められてきました。これに対し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する現場では、ロボットの作業速度や継続性などのアプリケーションの性能が生産性に大きく影響するため、通信性能要件を通信セッション単位で守ることが求められます。しかし実際の現場では、レイアウト変更や機器・モノ・ヒトの移動などにより無線品質が変動し通信性能が低下することがあります。電波は目に見えないため低下の原因を特定することが難しく、分析に膨大な時間と労力を要します。このため、原因を自動特定する技術が必要とされていました。
このたびNECが開発した学習型無線品質分析技術は、ローカル5Gの通信性能が低下している場所を、電波の受信電力など限られた無線品質のデータからAIでリアルタイムに推定・可視化します。また通信性能低下の原因を、無線品質の変動特性をもとにAIを用いて通信セッション単位でリアルタイムかつ自動的に特定します。これらをもとに、基地局の送信電力、アンテナの向きやチルト角などを調整し、アプリケーションを安定して高い性能で継続可能とすることで、現場業務の稼働率や生産性を大幅に向上させることができます。
(図1)GUI画面イメージ
(図2)実験システム構成
また、玉川事業場におけるリビングラボの手法による実証では、NEC社員がローカル5Gを活用したアプリケーションを利用し、無線品質の変動の影響や、通信性能が低下した際の原因の分析と対処に関するノウハウを得ます。今後はこれらをローカル5Gサービスに組み込み、実環境で効果を発揮するサービスに発展させ、ローカル5Gの社会実装を加速させます。
なお、本技術は国際会議The 23rd Asia-Pacific Network Operations and Management Symposium(APNOMS2022)(注1)においてBest Paper Awardを受賞しました。本技術により通信性能低下の原因をリアルタイムかつ高精度で特定可能とすることで、対策までの時間を大幅に短縮でき、5Gの高速・大容量、高信頼・低遅延といった特長を最大限に活用できることが高く評価されています。
NECはローカル5G事業(注2)に本格参入して以来、お客様との議論や実証を通じて、ローカル5Gの本格導入に向けた様々な課題に取り組んできました。NECは今後も、ローカル5Gサービスを発展させ社会実装を進めることにより、社会課題を解決し新たな価値を提供していきます。
(注1)APNOMS2022:https://www.ieice.org/cs/icm/apnoms/2022/index.html
(注2)NEC ローカル5G:https://jpn.nec.com/nsp/5g/local5g/index.html
【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】
NEC ネットワークサービス企画統括部
contact@nwsbu.jp.nec.com