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インテル&AMD環境マシンを使って、その理由を教えます

DDR5をフル活用するうえで"メモリー設定"がとても重要なワケ

文●宮里圭介 ●ジサトラハッチ/ASCII

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 自作PCで性能にこだわる場合、費用対効果の高いCPUやビデオカードを優先することが多い。続いて体感速度への影響が大きいSSDで、メモリーの優先度は基幹パーツの中では後に追いやられがちだ。

 しかし、用途によってはメモリー容量が大きく性能を左右することもある。とくに影響が大きいのは写真編集で、シンプルなRAW現像だけでも速くなることは珍しくない。また、より大きなデータを扱う動画編集においても、メモリー容量は重要となる。

参考記事:「メモリー容量の差で写真現像も高速化!?16GBでもまだ少ない、コスパの高いCrucialのメモリーで32GB以上に増設だ!」

 ほかの基幹パーツは上位モデルを選ぶほどPCの性能が向上するが、メモリーは容量を増やすと高速化するというより、容量不足による性能低下が起こりにくくなるという意味の方が大きいだろう。そのため、オフィスソフトくらいしか使わない人なら16GBでも十分だと言うし、写真編集に使う他人なら32GBでも足りないと言うように、人によって大きく基準が変わってくるのだ。

 ただし、最近のソフトはメモリーを多く使用するようになってきているため、16GBでは足りなくなるシーンも増えている。とくに複数のソフトを起動しっぱなしで切り替えながら使う人や、ブラウザーのタブをいくつも開いている人であれば、32GB以上搭載したほうが快適になるだろう。

 さて、ここまではメモリー容量の話をしてきたが、性能に影響するのは容量だけではない。メモリー速度も重要だ。CPUやビデオカードと比べてしまうと性能への影響は大きくないが、ハイエンド構成でさらに上の性能を狙いたいのであれば、高速メモリーは必須レベルのパーツとなる。

 この理由はシンプルで、いくらCPUが速くても、メモリーが遅ければボトルネックになってしまうから。インテルに続きAMDも対応メモリーをDDR4からDDR5へと移行したのは、この速度を重視しているためだ。

手軽にクロックを定格動作に最適化してくれる「XMP」と「EXPO」

 本来メモリーのアクセスタイミングは複雑で、製品によって異なることが多い。正しいタイミングでアクセスしなければ動作不良、もしくは、動いても不安定になってしまうだけに、JEDECによる標準規格が作られている。この規格に準じたパラメーターがメモリープロファイルとしてSPDのチップに記録されており、これをマザーボードから読み取ることで、メモリーに正しくアクセスできるわけだ。

 メモリーを手動でオーバークロックし、高速化しようとした場合、単純に動作クロックを上げるだけでは安定しないことがほとんどだ。アクセスタイミングを手動で設定することになるため、パラメーターを変更するたびに負荷テストを実施して安定性を確認するという、途方もない時間とかなりの試行錯誤が必要となる。

参考記事:DDR5メモリー移行のチャンスか! 試しに買った特価品のオーバークロック耐性が優秀すぎた

 これを簡易化するためにインテルが提唱したのが、「XMP」というものだ。分かりやすく言えば、JEDECの標準にはないオーバークロック用のメモリープロファイルを用意することで、ユーザーによる細かなパラメーターの調整なしに高速メモリーを使えるようにするというもの。つまり、試行錯誤の手間なしに、高速メモリーが安定して使えるようになるのだ。

 XMPは、基本的にはインテル環境用の設定となるが、一部のマザーボードメーカーは独自にAMD環境でもサポート。これにより、高速メモリーがグッと使いやすくなった。

 なお、AMDも昨年リリースしたRyzen 7000シリーズにて、「AMD EXPO」(Extended Profiles for Overclocking)というものを採用。インテルのXMPと同様、高速メモリーを難しい設定なしに、手軽に使えるようになっている。

Ryzen 7000シリーズからサポートされるようになったEXPO。より高速なメモリーが使いやすくなった

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