FTX創業者サミュエル・バンクマン=フリード氏 FTX Japan
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの経営破たんをめぐり、FTXジャパンは、2023年2月21日から法定通貨と暗号資産の出金を再開した。
FTXジャパンによれば、2月22日午後9時までに、法定通貨約10億円と、約56億円相当の暗号資産が出金された。
FTXは2022年11月12日に米国の裁判所に連邦破産法11条の適用を申請し、日本法人の利用者も暗号資産や日本円などの出金ができなくなっていた。
日本でいち早く出金が再開されたことで、取引所の資産と顧客の資産を分けて管理することを求める日本の規制により、顧客資産の保全が機能したとの見方も出ている。
一方で、米国では、捜査当局が23日にもFTXの創業者サミュエル・バンクマン=フリード(SBF)被告を新たな罪で起訴した。
他人名義で政治家への献金を繰り返すなど、米政界への資金提供の手法も明らかになりつつある。
身代わりの寄付者
23日のニューヨーク・タイムズによれば、捜査当局が追加で提出した起訴状に、SBF被告による政界工作の詳細が明らかにされている。
捜査当局は、SBF被告やFTXの幹部らは、他人名義で300件以上の政治献金を繰り返していたと指摘している。
SBF被告は暗号資産の取引所に集まった顧客の資金を流用し、自身の名前が寄付者として公表されることを避けるため、身代わりの寄付者名義で政治献金をしていたとされる。
政党色はあまり明確でなく、共和党、民主党の両党の候補者らに広く寄付をしていたようだ。
FTX社が破産した後、約9000万ドルが顧客の資産から政治献金として寄付されたとして、同社の破産処理を担う弁護士が返還を求める書面を政治家側に送ったという。
顧客資産から政治献金に流用された資金は、日本円換算で約120億円にのぼる。
巨額の政治献金の目的について、これまで米メディアの報道では、おおむね2種類の目的が指摘されている。
1つ目は、暗号資産に対する「適切な規制」を目指すロビー活動だ。FTXが米国などで急激に顧客を増やす中で、SBF被告は「適切な規制」に必要性を主張し、政界とのパイプを構築することを目指していたと考えられている。
政治献金は、自社の存在を大きく見せる手法の一つとも考えられている。FTX社は2022年2月にアメリカンフットボールのスーパーボウルに広告を出したり、米大リーグで活躍する大谷翔平選手を広告に起用したりと、自社の存在を誇示する手法を用いてきた。
米政界とのパイプの構築も、そうした手法の一つであると受け止められている。
米国と日本の違いが浮かぶ
FTX社の幹部やSBF被告は、顧客資金を好きなように引き出し、政界工作や、自分たちの豪遊に使っていたと指摘されている。

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