ファーウェイにとって厳しい冬が続いている。バイデン政権が同社に対する輸出規制をさらに強化したという報道が出ている。4G対応チップなどこれまで許可が降りていたものも対象となるという。
ファーウェイへの技術供給ライセンスを全面禁止?
米中貿易戦争の象徴の1つであるファーウェイ。2019年、当時大統領を務めていたトランプ氏の下で、ファーウェイはZTEとともにターゲットとされた。国家保安を主な理由に、国内キャリアが5Gでファーウェイの技術を調達することを禁止し、さらには米国の技術の輸出を禁じた(輸出管理規則「エンティティーリスト」入り)。
同年末には、創業者の娘でCFO兼副会長を務めていたMeng Wanzhou(孟晩舟)氏がカナダで逮捕される(2021年9月に釈放され中国に帰国)など、ファーウェイに対して厳しい姿勢を見せていた。
政権が変わり、コロナ禍に入り、ファーウェイに対する直接の大きな動きはなかった(2022年11月に、中国製監視カメラの輸入を禁じた中にファーウェイも入っていたようだ)。そこに1月末、米政府が輸出規制を強化し、全面的に禁止したという報道がFinancial Timesなどから出ている(https://www.ft.com/content/23433f43-8d81-4a24-9373-fc0ac18f948a)。
従来はエンティティーリスト入りしたあとでも、規制の対象となっていないものについてはライセンスを取得すればファーウェイに輸出できるという“抜け道”のようなものがあった。実際、クアルコムやインテルなどは、5Gに関連しない技術についてライセンスを得て輸出している。このやり方を使って総額614億ドルもの製品がファーウェイに供給されていたという。
この抜け道を塞ぐ。つまり、輸出禁止の対象を広げるというのが、1月末の報道だ。
なお、クアルコムは引き続きファーウェイに部品供給を継続するという旨をGizchinaが報じている(https://www.gizchina.com/2023/02/05/qualcomm-confirms-it-can-still-ship-snapdragon-chips-to-huawei-even-after-the-new-us-ban/)。
ファーウェイは「危機的状況を脱した」と宣言も
実際のの状況はどうか?
「2022年、Huaweiは危機モードから抜け出すことができた」――――2022年末に輪番会長のEric Xu氏は、新年に向けたメッセージでこう記した(https://www.huawei.com/us/special-release/new-year-message-2023)。
デバイス事業の落ち込みはひと段落し、「Huawei Cloud」をはじめとしたICTインフラ事業は順調に成長を続けているとXu氏は説明。売上は6369億人民元(約12兆円)で予想どおりとしている。2021年の売上高は6368億人民元であることから、微増~横ばいとなりそうだ(同社は毎年春にアニュアルレポートを出すことになっており、正式な数字はそこで公開されるだろう)。
ポストコロナに向け、2023年は品質にフォーカスするほか、研究開発への投資も約束している。興味深いのは、ファーウェイの自社特許のロイヤリティー収入が、他社に支払うロイヤリティーを上回ったという点だ。2022年には20以上の特許ライセンス契約を結んだ。12月末には、Nokiaと特許ライセンス契約を延長したことを発表している。
2022年に米国特許商標庁(USPTO)に特許を付与された数で、ファーウェイは堂々の4位。付与された件数は2836件、これは前年比2%増でランクも5位から1ランク上がっている。
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