チカクと国立長寿医療研究センターの共同研究/遠隔コミュニケーションツールの利用が高齢者の心理・社会的健康だけでなく、QOLや健康寿命に好影響を与える可能性
株式会社チカク
独居高齢者の社会的孤立解消に期待も
株式会社チカク(以下「チカク」)と国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市、理事長・荒井秀典、以下「長寿研」)は、チカクが開発した遠隔コミュニケーションツールである「まごチャンネル」を利用した家族間のコミュニケーションによる、高齢者の心理・社会的健康に与える影響についての共同研究の最終報告をまとめました。 その結果、「まごチャンネル」の利用により、離れて暮らす家族との会話頻度の増加に加え、同居家族との会話時間の増加と同居家族への満足度の上昇を確認いたしました。
これまでに長寿研は「社会との多様なつながりがある高齢者は認知症リスクが半減する」との研究結果を発表しています(※)。
(※) Saito T, et al., Influence of social relationship domains and their combinations on incident dementia: a prospective cohort study. Journal of Epidemiology & Community Health 72(1);7-12 2018.
https://jech.bmj.com/content/72/1/7.long
(日本語版プレスリリース)
https://www.jages.net/pressroom/?action=cabinet_action_main_download&block_id=1000&room_id=919&cabinet_id=95&file_id=3353&upload_id=3941
今回の研究結果で、「まごチャンネル」の利用により、離れて暮らす家族との会話頻度の増加に加え、同居家族との会話時間の増加及び同居家族への満足度の上昇を確認できたことは、家族間のパーソナルなコンテンツのやり取りを行える遠隔コミュニケーションツールの利用が、高齢者の心理・社会的健康だけでなく、QOLや健康寿命に好影響を与える可能性があることがわかりました。一方で、本研究は対照群を設けていない試験的なものであるため、結果の解釈に注意が必要であり、今後はより厳密な検証をとおして効果検証を行っていく必要があります。
また、今回の3か月間に渡る研究では、被験者の途中離脱率は7.8%と極めて低く、さらに「サービスに対する満足度」が平均9.0/10ポイントと高いスコアを示したことからも、「まごチャンネル」のサービスが、ほとんどの利用者に受け入れられ、高齢者とその家族に高い満足感を与えていることが示されました。
なお、今回の研究結果は、欧州の国際科学誌 ”Frontiers in Public Health” に “An approach to psychosocial health among middle-aged and older people by remote sharing of photos and videos from family members not living together: A feasibility study” (別居家族との遠隔的な写真・動画共有による中高齢者の心理・社会的健康への介入:実施可能性研究)として採択され、オンラインで出版されています。
【URL】https://doi.org/10.3389/fpubh.2022.962977
長寿研 老年学・社会科学研究センター 老年社会科学研究部 部長 斎藤民、研究員 野口泰司は次のようにコメントしています。
「新型コロナウイルス感染症の流行から、より一層人々の孤独や孤立が注目されるようになり、デジタルツールの利用も含めた社会的つながりの促進は高齢者にとってもますます重要となっています。『まごチャンネル』のように高齢者でも使いやすく、親しみをもてるような『エイジテック』を活用したツールやサービスの開発に今後も期待します」
本研究の分担研究者で、チカク 共同創業者・佐藤未知(博士)は次のようにコメントしています。
「独居高齢者が急増している昨今、高齢者の孤独・孤立の解消が社会課題となっています。孤独・孤立が心身に悪影響を与えることが次々と明らかになっていますが、本研究では独居高齢者が遠隔コミュニケーションツールによって社会的つながりを維持できる、もしくは増やすことができさえすれば、独居高齢者の社会的孤立を解消できる可能性を示すことができました。遠隔コミュニケーションツールが社会保障費の抑制などにも寄与できるならば、高齢者でも簡単に使いこなせる遠隔コミュニケーションツールを社会的インフラとして整備していくことも一考に値するものと考えます」
今後もチカクは、高齢者の孤独・孤立問題をはじめとする日本の高齢化社会の課題解決に貢献してまいります。
研究概要
課題名
遠隔的な写真・動画共有デバイスの使用による別居家族との交流促進が中高齢者の心理・社会機能に及ぼす影響:前後比較試験による feasibility 研究
対象
2020年12月時点で、50歳以上の方及びそのご家族で、「まごチャンネル」新規利用開始ユーザーの中から、抗精神病薬等の服用がないなどの一定の条件を満たした被験者115名(平均年齢74.3歳)
調査方法
「まごチャンネル」設置先の被験者が、3か月間、「まごチャンネル」を使用し、ご家族から週1回以上の頻度で送られる動画や写真を視聴。
「まごチャンネル」利用前、利用開始後1か月(4週間)・2か月(8週間)・3か月(12週間)にアンケートに回答。
研究責任者名
(研究責任者)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 老年社会科学研究部 研究員 野口泰司
(共同研究機関研究責任者)
株式会社チカク 代表取締役 梶原健司
(分担研究者)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 老年社会科学研究部 部長 斎藤民
株式会社チカク 共同創業者 佐藤未知
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
長寿研は、2004年3月1日に、長寿医療を扱う6番目のナショナルセンターとして、愛知県大府市の旧国立療養所中部病院の地に設立され、2010年に独立行政法人に移行。認知症、フレイルなどの老年症候群に対する先進的な医療をはじめ、高齢者医療のモデルとなる医療の提供と超高齢社会で求められる医療・介護・福祉を担う人材育成を行っています。
https://www.ncgg.go.jp/
株式会社チカク
株式会社チカクは“シニア・ファースト”を掲げるエイジテック企業です。
スマートフォンアプリで撮影した動画や写真を実家のテレビに直接送信し、インターネット環境やスマートフォンがないシニア世代でも自宅のテレビで視聴できる「まごチャンネル」を開発・販売。見守りやテレビ電話機能など機能拡張し、自治体や介護事業者などと高齢者の孤独・孤立解消に向けた取組みも展開しています。
<提供サービス>
・まごチャンネル:https://www.mago-ch.com/
<会社概要>
・会社名:株式会社チカク
・代表者:梶原健司
・所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東2-14-7
・設立:2014年3月
・URL:https://www.chikaku.co.jp/