ドコモと沖縄県浦添市は、2月10日に記者発表会を開催。浦添市の社会課題解決並びに市民の利便性向上を目指すスマートシティーを実現するための包括連携協定を締結した。
今回の包括連携協定では以下の4つのポイントが連携・協力事項とされている。
1、人材交流に関すること
2、デジタル技術を活用した行政サービス等の質の向上に関すること
3、地域事業者のデジタル技術の活用に関すること
4、あんしん・安全、快適な住みやすい環境づくりに関すること」
そのほかに連携・協力が必要となる事項は、双方協議を行なうとされている。また協定の期間は2023年2月10日~2025年3月31日までの約2年間となっている。
発表会で、浦添市長の松本哲治氏は今回の締結について「浦添市も全国の自治体間とのデジタルをめぐる競争の中にあります。その中で本市だけで、そして地元だけで頑張るのではなくて、ドコモの力と先端技術を活用し協力して一緒に取り組んでいく。ドコモが持っているこれまでの経験等も踏まえて、そして私たちと一体となって、本当にデジタルを通して、人と人との心を感じるような、あるいは市民1人1人がそのデジタル化していく中で、やはり温かみとか優しさとか、そういったことも残しながら、私たちのスマートシティーの方向性をともに模索していくベストパートナーとして、今回、ドコモと包括協定が結べることを大変うれしく思っております」と話した。
またNTTドコモ 代表取締役社長の井伊基之氏は、「今まで5GとかAIの技術とかクラウドとか、いろいろ道具立ては持っております。またR&Dを進めており、そのサービスの開発みたいなことなど、多くの自治体でも実績をつくってきました。それらをそのまま活用できるものは活用すればいいし、また、この浦添市にオリジナルのものとして作り上げていかなきゃいけないものは作っていきたいと考えており、我々の持っている力を惜しみなく浦添市に提供して進めていきたい」と話しており、これまでの知見に加えて、浦添市の独自の社会課題解決や利便性の向上を目指すとのことだ。
この浦添市独自の社会課題解決や利便性の向上について、松本市長は「沖縄県内でも若い方が多い」と話している。浦添市は人口規模では那覇市、沖縄市、うるま市についで第4位の約11万5000人で、沖縄市のベッドタウンとして成長してきた街。そのため松本市長は「子育ての分野で先端技術を使って情報を届けていく。またコミュニケーションをお互いにできるようにしていくかということが大きなテーマのひとつ」と指摘していた。
今回の包括連携協定締結に先がけて、ドコモと浦添市は、東京ヤクルトスワローズとともに、春季キャンプのマルチアングル映像配信の実証実験を実施。2月7日、9日、10日の3日間のみだが、専用の視聴サイトでスワローズのキャンプの様子が配信された。
実証実験ではスワローズのキャンプ地となっている、ANA SPORTS PARK浦添に、可搬型の5G基地局「キャリー5G」を設置している。この基地局を使い、ANA SPORTS PARK浦添内のメインスタジアムに2台、屋内練習場とブルペンに1台ずつ配置したカメラから5G回線を使ってサーバーへと動画を直接アップロード。さらにアップロードされた映像をスタジアム内に設置した配信設備を使い、視聴サイトへ提供していた。
現地取材のタイミングはあいにくの雨となり、メインスタジアムのカメラの様子は撮影できなかったが、来場客のなかにはタブレットで配信を観ているファンもいた。屋外練習のかわりに、室内練習場の様子をタブレットで観て楽しんでいた様子だった。