待ったなしのCMS統合と自動化 プライム・ストラテジー池宮取締役が語る (1/2)
2023年01月24日 10時00分更新
高速でセキュアなWebサイトの運用を実現するKUSANAGIを開発するプライム・ストラテジーは、取締役も技術に明るいエンジニアたちだ。今回はそんな取締役の3人に自身の経歴や担当領域から見たWebサイトのトレンドと自社の戦略について聞いた。一人目はクラウドインテグレーション事業部を統轄する池宮紀昭取締役になる(インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)。
エンジニア、ディレクター・PM、事業統括まで経験
大谷:まずは池宮さんがプライム・ストラテジーに入社するまでのビジネスプロフィールを教えてください。
池宮:新卒で入ったゲーム会社ではプログラミングやネットワーク設計などを手がけていました。その後、ディレクターやPMの比重も増え、転職を機にマーケティングやツールの開発に携わり、さらに個人事業主としてエンジニアやディレクション、PMなどを手がけ、前職のWebメディアにエンジニアとして携わるようになります。このWebメディア時代にサーバーの運用をお願いしていたというのが、プライム・ストラテジーとの関係の始まりです。
大谷:もともとお客さまという立場だったんですね。
池宮:はい。Webメディアの会社がスタートアップだったこともあり、創業時から関わっていた私はメディア事業の管轄になり、ついで会社の全事業の統括を手がけるようになりました。その会社の退職の際にプライム・ストラテジーに挨拶に行ったところ、お誘いを受けて、そのまま入社したという経緯です。
最初は「なんでもやりますよ~」という感じでスタートし、エンジニア、営業を経て、マーケティング部長になりました。なので、「WEXAL」のプレスリリースを出したときは、大谷さんにお世話になっていたかもしれません。2020年1月にクラウドインテグレーション事業部を統轄する事業部長、翌月に取締役になっています。
大谷:プロフィール的にはエンジニア、ディレクター・PM、事業統括まで本当にいろいろやってきたんですね。
池宮:そうですね。技術よりビジネスが好きというエンジニアはあまり多くないと思うのですが、私はどちらかというと会社の成長に寄与したいタイプなので、今の職種は向いているとは思います。
他社の1/10のコストで、4年短縮したプロジェクトもあった
大谷:プライム・ストラテジーに入社してどういったことを手がけたか教えてください。
池宮:当時は人手で解決していたところが多くて、工数に見合わなかったり、精度がまちまちになっているところに課題を抱えていました。プライム・ストラテジーは全社的にトップの方針で自動化を進めている最中で、技術の標準化、凡ミスやヒューマンエラーの撲滅、業務のスピードアップなどを実現しようとしていました。
私が事業部にジョインしたのはまさにコロナ禍が始まった頃だったので 、会社もお客さまもフルリモートに移行していました。自動化に関しても、社会的な要請としてやらなければならない状況になっていましたし、ITに関しても情報システム部に統合していく動きが一部で見られました。こうした状況に対して、どこから手を付ければいいかわからないというお客さまも多かったですし、ベンダーが複数に渡っていたり、Webサイトの管理に手が回らないという声もありました。こうしたお客さまを支援するためになにをすればよいか考えました。
大谷:具体的にはどういった支援を行なったのでしょうか?
池宮:はい、乱雑になってしまっている情報を整理し、効率的に運用できるようにするため基盤を整えるための支援を行いました。同型のWebサイトをいかにグループ化して、効率的に運用するかが重要です。高度で複雑なWebサイトに関しては、スペックが高いサーバーで管理しやすい構成へ、コーポレートやECサイトのような個人情報が含まれるWebサイトはよりセキュアにといった具合に整理します。そしてさまざまなCMSをアップデートしながら、新しい環境へ移行し、適切な運用ルールのもとで運用します。こういうことを一気通貫でできる会社は意外とありませんでした。
コロナ禍前後で、弊社が自動化を一気に進めていたこともあって、他社とスピード感が全然違いました。あるWebサイトの移行プロジェクトでは、2026年までかかるというスケジュールの提案が出ていたそうです。同じプロジェクトを弊社のKUSANAGI環境で提案差し上げ、1/10のコストで2022年中に完了することができました。会社が小さいのでフットワークが軽いという理由もあるのですが、やはり早くから自動化に取り組んできた結果で、これはプライム・ストラテジーの強みだと感じています。
自動化が進む分、人による顧客対応や要件定義はより丁寧に
大谷:自動化でどんなことが効率化するのでしょうか?
池宮:お客さまには環境の構築、運用のコンテンツの移行、リリース前の環境や問題点の調査をクローリングにより自動化しているとお伝えしています。たとえば、セキュリティの脆弱性はないか、アクセスの負荷に耐えられるのか、ディスクは正常に動いているかなどをAIがアラートを挙げます。
これをリリース前だけではなく、運用に入ってからも定期的にチェックし、ケアまで提供します。最近ではお客さまでの稟議書の登録や提出するレポート作成など、ワークフローの部分も自動化しています。ここまで自動化しているのは、ほかでは聞いたことがありません。
大谷:プライム・ストラテジーとしてどういった部分で自動化のメリットを感じていますか?
池宮:もちろん利益率という点は大きいのですが、クラウドインテグレーション事業部担当という点で助かっているのは、やはり精度の高さですね。目指すところは弊社の代表取締役中村(けん牛氏)や技術担当執行役員の大曲(仁氏)のような希有なレベルのエンジニアが手がける作業を自動化できること。10人の大曲が同時に仕事するみたいなことができたらいいなと思います(笑)。
大谷:ユーザーの自動化に関する意識って変わってきていますか?
池宮:お客さまへの伝え方かなと思っています。前述した大手の案件はPMとして関わったのですが、自動化を提案すると「人の手を入れないで大丈夫?」という不安はむしろ高まると思っています。なので、要件定義や顧客との対話は今まで以上にしっかりやりました。
たとえば、テストに関しては画面の表示からエラーの検知まですべてが対象となるのですが、この作業を私が1回ずつ目視で確認するより、テストで出た結果に基づいてアクションをとったほうがよくないですか?と具体的な例を挙げながら、お客さまに説明しました。自動化技術に関してはとにかく地道に説明し、少しずつ理解してもらうしかないと思います。