アナログレコード。デジタル音源では味わえない厚みのある音や、わずかに聴こえるノイズが心地よい音楽媒体。CDとは違い、自分の手でターンテーブルにセットし、実際に回っているレコードを眺めると心が落ち着く。そんなレコードを自室だけでなく気軽に持ち出して楽しめるのが、11月7日に発売したオーディオテクニカ「AT-SB2022」、通称サウンドバーガーだ。
皆さんは普段、音楽を何で聴いているだろうか? 音楽ストリーミングサービスが浸透してそれなりの年月が経ったが、そんな中、アメリカではCDの売上をアナログレコードが上回っているのは知っているだろうか。日本でも数年前から復活の兆しを見せ、CDとあわせてアナログ盤も発売するアーティストが増えている。
2022年にオーディオテクニカが60周年を迎えた。それを記念した商品がいくつか発売されたが、その中の一つが今回チェックしていくAT-SB2022だ。
使用するヘッドホンのほぼ全てを同社で揃え、オーディオケーブルもオーディオテクニカで固めるほどにはファンである筆者としては、絶対ではないがなるべく手に入れたい品だった。
本製品は、1982年に発売された初代サウンドバーガー「AT-727」のリバイバル製品で、全世界7000台限定で販売された。初代のデザインを踏襲し、駆動は乾電池からUSB充電式のバッテリーに変更。Bluetoothを搭載したりと、現代に合わせた機能が追加されている。
ここからは実際に製品を見ていく。
サイズは一般的なプレーヤーと比べ1/3~1/4ほどで、片手で持つのも余裕な大きさになっている。
本体はとてもシンプルな様相で、上面に電源ボタンと回転数を変更するボタン、背面にラインアウト端子と充電用のUSB Type-C端子、そして側面にBluetoothのペアリングボタンがあるだけだ。また、フォノイコライザーを内蔵しているため、有線で聴く場合は、直接アンプに接続しスピーカーやヘッドホンなどで聴くことができる。
注)本体に付いているのはヘッドホン出力ではないため、ヘッドホンなどを直接挿して音を出してはいけない。
使用した感想は、とてもコンパクトに納められるのが良い。通常のプレーヤーでは電源用のACアダプターを接続する必要がある。そのため、完全なワイヤレスは実現できなかった。しかし、バッテリーとBluetoothを搭載している本製品は、完全ワイヤレスで運用できる。また、通常のプレーヤーを並べてみてわかる通り、占拠する表面積がとても小さいため置き場所に困らない。机とプレーヤーが遠くてレコードを変えるのが面倒でも、これならばそばに置いておけば、いちいち席を離れる必要がない。
再生面では、レコード全体がプレーヤーに乗っていいないため、安定して水平に回らず、上下の揺れが気になる。レコードの上から付属しているアダプターで抑えるが、固定が足らない様子。しかし、酷く歪んでいなければ特に気にする必要もなさそうだ。これは音質を求める製品ではないから。
まとめとしては、やはりどこでも持ち運べるコンパクトさがいい! 従来のプレーヤーは据え置きで、ケーブルも多数伸びているため、基本的には動かしたくない。いつでも自室で仕事をしているわけではないので、自室以外でもレコードで音楽を聴くことができるのはとても嬉しい。例えば、仕事をする場所と寝室が別になっている人でも、これがあればどちらの部屋でもレコードを楽しむことができる。
私の環境では、自室のアンプに繋ごうとすると、DACから伸びているケーブルを一回抜かなかければいけないので、やはりワイヤレスは便利。ケーブルの抜き差しが煩わしくて、レコードで聴く機会が減ってしまうのはもったいない。
残念ながら、AT-SB2022は完売してしまっているが、この一年だけでも、さまざまなメーカーから新しいプレーヤーが発売されている。普段からCDを買っている人も、ストリーミングでしか聴かないという人も手を伸ばしてみて頂きたい。最近では大手CDショップでも、新たにレコードの取り扱いを始めた店もある。探していたレコードがひょっこり並んでいるのを見つけたときの高揚感をみなさんにも是非味わってみてほしい。