政府が「アナログ規制」の見直しを進めている。
2022年12月21日に開かれた政府の「デジタル臨時行政調査会」(デジタル臨調)で、約1万条項の見直しに関する工程表が決定した。
会議の議長を努める岸田文雄首相は「2024年6月までの2年間で、アナログ規制を一掃する」と意気込みを示している。
具体的に、どんな規制が問題とされていて、日々の仕事や暮らしにはどんな影響があるのだろうか。詳しく見てみたい。
薬、酒、たばこの販売のあり方は変わる
政府は「約1万」と言っているが、実際には、9669条項が見直しの対象となる。
理解しやすいのは、「常駐・専任規制」だろう。
例えば、ドラッグストアでの薬剤師の常駐規制がある。
ドラッグストアの店頭に置かれている医薬品の一部は、店内に薬剤師がいないときは売ることができない。
効き目の強い頭痛薬や胃腸薬などが頭に浮かぶが、たしかに、店先に「いま薬剤師が不在なので売れません」という紙が貼られているのを見たことがある。
政府の工程表では、この規制は2024年6月までに撤廃されることになる。この規制がなくなると、特定の頭痛薬を買いに来た客と、店内ではないどこかにいる薬剤師をつないで、ビデオ通話でやり取りをして販売することが可能になるようだ。
常駐規制ではないが、酒・たばこの販売も変わりそうだ。
スーパーや一部のコンビニで、セルフレジの設置はどんどん進んでいる。
しかし、酒やたばこを買うときは年齢確認が必要になるため、セルフレジでは支払いができない。
筆者個人も、有人のレジに長蛇の列ができていたため、列の短いセルフレジで支払いを済ませたかったが、買い物かごに缶ビールが1本入っていたため、セルフレジでの決済をあきらめたことがある。
こちらは、デジタル技術を活用した年齢確認方法が導入される方向だ。
具体的には、セルフレジで酒・たばこを買うひとは、マイナンバーカードや、マイナンバーカードの機能を搭載したスマホで年齢を確認する仕組みになる。
この規制の撤廃は目の前に迫っている。セルフレジでの酒・たばこの販売は2023年1月までに解禁される見通しだ。
名簿やリストのネット公開
アナログ規制の撤廃では、閲覧するには、役所や警察まで出向く必要がある名簿やリストをネットで公開する制度変更も含まれる。
この制度変更に関連して、財布を紛失したときの経験を思い出す。
散歩から自宅に戻り、数時間が経過した後に、財布を落としたことに気づき、可能性があるコンビニなどを回って尋ねたが、見つからなかった。
最寄りの交番で遺失物届を出してから、数日おきに警察署に電話をかけた。財布の中には、保険証やキャッシュカードなど再発行が必要なものがいくつも入っているからだ。
警察署に電話をかけると、警察官が東京都内のデータベースを確認してくれ、似た財布が届いていないか回答してくれる。
結果として、財布は見つからず、中にあった証明書やキャッシュカードなど全てについて再発行の手続きをすることになった。
こうした落とし物のリストが、ネットで公開されることが決まっている。
政府が効果として挙げているのは、都道府県をまたいで落とし物を探す際などの利便性の向上だ。
たとえば、多摩川の川原で遊んでいて財布を紛失した場合、警視庁と神奈川県警の両方に落とし物が届けられる可能性がある。
こうした場合にも、ネットで一括して検索が可能になるようだ。
このほか、建築士の資格を保有している人の名簿や、医療法人の公開文書、道路台帳などさまざまなリストがネットで閲覧できることになる。
気になるのはやはり不正対策
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