宇宙航空研究開発機構(JAXA)など共同研究チームは、探査機「はやぶさ2」が地球へ持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂サイズの試料(以降、「リュウグウ粒子」と呼ぶ)を分析。リュウグウをはじめとするC型小惑星における宇宙風化では、表面に存在している粘土鉱物の一種である層状珪酸塩鉱物の脱水が大きく寄与していることを明らかにした。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)など共同研究チームは、探査機「はやぶさ2」が地球へ持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂サイズの試料(以降、「リュウグウ粒子」と呼ぶ)を分析。リュウグウをはじめとするC型小惑星における宇宙風化では、表面に存在している粘土鉱物の一種である層状珪酸塩鉱物の脱水が大きく寄与していることを明らかにした。 研究チームによると、宇宙風化が検出できたリュウグウ粒子には、層状珪酸塩鉱物の結晶構造が壊れてしまっているものと、層状珪酸塩鉱物が部分的に融けているものがあった。いずれも、層状珪酸塩鉱物に含まれていた3価の鉄イオンが2価に還元され、ヒドロキシ基が失われていた。 これらの結果は、小惑星リュウグウの宇宙風化では、表面に存在している層状珪酸塩鉱物の脱水が大きく寄与していることを示しており、特に、層状珪酸塩鉱物が部分的に融けた場合、脱水反応は顕著であった。研究チームは、リュウグウには、マイクロメテオロイド(惑星間空間を高速で移動する天然の固体物質)の衝突による加熱によって石や砂の表面数ミクロンが溶融しているものがかなりあり、この溶融で粘土が脱水し、天体全体が強い加熱を受けたかのように太陽光を反射しているのだとしている。 今回の研究でC型小惑星の宇宙風化の実態が初めて明らかになったことにより、水を含む小惑星の反射スペクトルの解釈が大きく進むことが期待される。研究論文は、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に2022年12月19日付けで掲載された。(中條)