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【iPadOS 16レビュー】今後の発展が楽しみだが「覚えなければ活用できない」もどかしさも

2022年12月05日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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表示は似ていても操作は異なる部分も多く
便利とシンプルのトレードオフ

 ステージマネージャは、これまでのiPadOSとはかなり異なった操作感覚を含むものとなっているため、慣れないうちは何かと混乱することがあるかもしれない。また、またmacOSのマルチタスク操作に慣れている人でも、表示は似ていても操作は異なる部分も多いので、やはり混乱してしまうことがあるだろう。

 一方、キーボードを使用する際には、ステージマネージャの操作を含むショートカットが多数用意されている。これも慣れてくれば、いろいろな操作を非常に素早く効率的にこなすことができるようになる半面、覚えなければ活用できないので、かえってもどかしさを感じる要因ともなる。

 思い出してみれば、初期のiPhoneやiPadの基本操作は、アプリのアイコンをタップすれば、そのアプリ(だけ)が使え、常にそこにある物理的なホームボタンを押せば、いつでもホーム画面に戻るという、極めてシンプルかつ安心感のあるものだった。初期のiPhoneやiPadが、あえてそうしたシンプルな操作を追求したのは、マルチタスクの実現によって操作が複雑になってしまったMacへのアンチテーゼだったことは間違いない。

 そのiPadも、マルチタスクの実現によって、だんだんとユーザーに複雑な操作を要求するようになり、その究極の形としてステージマネージャに至ったと見ることもできる。アプリの中の操作を除いても、次に可能な操作パターンが、ほとんど無限に存在し、ユーザーはあたふたとしてしまうこともある。こうした状況を、もしジョブズが見たらどう感じるだろうか、などと考えながらステージマネージャを使ってみるのも、また一興かもしれない。

 それはともかく、ステージマネージャを得て外部ディスプレイもサポートするiPadOSは、単にiPadの機能や使い勝手を向上させるだけに留まらない。iPadの用途を、これまでは考えられなかった領域に押し上げる可能性を持っている。iPadOSとiPadの今後の発展が、ますます楽しみになってきた。

 

筆者紹介――柴田文彦
 自称エンジニアリングライター。大学時代にApple IIに感化され、パソコンに目覚める。在学中から月刊ASCII誌などに自作プログラムの解説記事を書き始める。就職後は、カラーレーザープリンターなどの研究、技術開発に従事。退社後は、Macを中心としたパソコンの技術解説記事や書籍を執筆するライターとして活動。近著に『6502とApple II システムROMの秘密』(ラトルズ)などがある。時折、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として、コンピューターや電子機器関連品の鑑定、解説を担当している。

 

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