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iPad ProはM2搭載! 無印iPadは画面大型化&USB-C採用! アップル秋の新製品第2弾 第18回

【iPadOS 16レビュー】今後の発展が楽しみだが「覚えなければ活用できない」もどかしさも

2022年12月05日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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iOS 16から遅れること約1ヵ月後にiPadOS 16は配信を順次開始した

 少なくともバージョン番号は、iOSに歩調を合わせて進化を続けているiPadOS。新機能にもiOSと共通するものが多いのは事実だが、iOSと分岐してからは、iPadならではの機能や操作性を取り入れつつ、新たな方向性を目指しているのも間違いない。そしてその先には、どうしてもmacOSの姿が見えてくる。ここでは、そのiPadOSに焦点を当ててレビューする。

iPadOSが、さらに2系統に分岐?

 毎年のことではあるが、新しいiPadOSの新機能には、どうしても個々のアプリレベルのものが多くなっているように見受けられる。そして、そうしたアップデートの多くは、iPhone用のiOSと共通なものであることが多い。たとえば、家族で写真ライブラリを共有できるiCloudの共有写真機能、送信の取り消しが可能なメッセージやメール、共有タブグループを備えたSafariなどだ。

 一方で、全体的な操作性に関わる部分では、両者の違いがはっきりしてきた面もある。それはデバイスのサイズや用途の違いを考えれば当然のことながら、主にiPadの画面の大きさを活かしたマルチタスクに関するものだ。特に今回は、「ステージマネージャ」が導入されたことで、iPadOSのマルチタスク操作の進化の方向性がはっきりと示されたと言える。

 しかも、そのステージマネージャがこの秋に登場したmacOS Venturaにも同時に装備されたことは、iPadOSとmacOS、あるいはiPadとMacの今後の関係を考えると、1つのターニングポイントのような出来事と思えてくる。OSにせよ、デバイスにせよ、近い将来に両者が統合されてしまうことはなさそうだが、部分的には限りなく近づいたまま、異なる路線を並走することになるだろう。

 また、iPadOSだけについて見ると、今回のステージマネージャの導入によって、少し気になる状況が浮かび上がってきた。というのは、iPadOS自体が、少なくともマルチタスクの操作性において、2系統に分岐してしまったのではないかということ。それは、iPadOS 16の対応機種に比べて、ステージマネージャの対応機種が少ないことからくる懸念だ。両者を比べてみよう。

 iPadOS 16自体には、世代を問わなければ、とりあえずすべての機種が対応しているのに対し、ステージマネージャに対応するのはiPad AirとiPad Proだけ。しかも世代の範囲も狭い。iPad Airの対応が最新の第5世代のみなのを見ると、M1以上のチップが必要なのかと早合点しそうだが、iPad Proでは、11インチ、12.9インチとも、チップはA12X Bionic以降で対応している。世代としては、もっと新しいAシリーズのチップを搭載した他のiPadの機種も対応していないことから考えると、チップの世代というよりも、搭載メモリ(RAM)の容量によって対応/非対応が分かれるのではないかと推察される。スムーズなマルチタスクの実現には、CPUの処理能力もさることながら、メモリ容量の余裕も不可欠だからだ。

 いずれにせよ、ステージマネージャに対応するかしないかによって、マルチタスクの操作性は大きく異るので、同じiPadOSでも、まったく異なるユーザー体験となってしまう。ステージマネージャに対応したiPad AirやiPad Proでも、それを有効にして利用するかどうかは、ユーザーが選択可能なので、嫌なら使わなければいいのだが、iPad全体としてUXが2系統に分かれてしまうのは避けられない。さらに言えば、ステージマネージャに対応しない機種、対応する機種でステージマネージャをオフにした場合、そしてオンにした場合の3つ場合が考えられる。今後は、iPadOSの使い勝手と一口に言っても、条件を限定した上での議論が必要となってしまった。

 もう1つ気になるのは、iPadOSの新機能として挙げられているものの中で、現状(16.1.1)では「年内に対応」という機能が散見されることだ。たとえば、ステージマネージャを使う際に外部ディスプレイをサポートする機能、リアルタイムの共同作業でメモを編集できる「フリーボード」などがそうだ。ステージマネージャで外部ディスプレイを利用すれば、操作性はさらにmacOSに近づくものと考えられる。この機能が、ステージマネージャ対応のiPad Proと同時に有効にならなかったのは残念で、全部揃えてから出してほしかったところ。それについては、機会があれば、また改めてレビューしたい。

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