ドコモグループが11月9日に「総合防災訓練」を開催した。首都直下型地震を想定し、通信の応急復旧措置がデモンストレーションされ、関係機関との連携や、避難場所に用意される機器なども紹介された。ドコモは毎年こうした訓練を行なっているが、関係者や報道陣に広く公開するのは3年ぶりとのことだ。
災害発生時には5つの応急復旧措置が可能
訓練は東京臨海広域防災公園で実施された。ドコモの災害への取り組みを紹介し、「防災についての学びの場にしていただきたい」という目的もあり、「みんなの防災カレッジ」というサブタイトルが掲げられていた。
首都圏で最大震度7の地震が発生し、基地局が停電した場所を想定して訓練が始まった。緊急地震速報のアラートが鳴り、基地局とみなした建物に3台の車両が登場。1台目には「可搬型衛星エントランス基地局」が搭載されており、運ばれてきた基地局が素早く組み立てられる工程が披露された。
2台目は「衛星エントランス搭載移動基地局車」。あらかじめ基地局が搭載されている車両で、救済に必要なすべての設備がパッケージされていて、被災地に迅速に向かうことができる態勢になっている。ここではアンテナを伸ばす工程を見ることができた。
3台目は「移動電源車」。基地局やノードビル(交換機や無線ネットワーク制御装置などが設置されている建物)が停電した場合に、電源を供給する車両。供給する電力によって、車両の大きさが異なり、NTTビルに給電できる大規模な移動電源車も展示されていた。
ドコモは近年、ドローンの開発・活用に力を入れているが、今年2月から電波を中継する「ドローン中継局」の運用も開始した。この日の訓練では実演されなかったが、実物が展示されていた。陸上からケーブルで給電するため、長時間浮かんで、基地局の電波を中継できる仕組み。理論上は100メールくらいの高さまで浮上でき、ドローンの下に通信エリアを構築する。
なお、大規模災害が発生した際に運用する基地局として「船上基地局」もあるという。文字通り、船に搭載した基地局で、海上から陸上に向けて通信エリアを構築できる仕組みだ。