大胆かつ繊細に操作できる物理ダイヤル「ASUS Dial」が魅力です

ASUS「ProArt Studiobook」実機レビュー = 4Kの有機ELとコアHとRTXなのにお買い得!!

文●写真 ジャイアン鈴木 編集● ASCII

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 ASUSは物理ダイヤルや4K有機ELディスプレーなどクリエイティブワークに特化したハイパフォーマンス16型ノートPC「ASUS ProArt Studiobookシリーズ」で新型モデルを2製品発売した。

 第12世代CoreシリーズのHプロセッサーに、NVIDIAの「RTX A3000」または「GeForce RTX 3060」を搭載。また、ペン操作が可能なタッチパッドを装備するなど、さまざまなクリエイティブワークに活用できるマシンに仕上げられている。

 今回は「Core i7-12700H」と「GeForce RTX 3060」を組み合わせたモデルを試用した。

ASUS「ProArt Studiobook」34万9800円~(スタイラスペンは別売り)

今回はCore i7-12700H/GeForce RTX 3060/RAM32GB/SSD1TB×2を搭載した「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」を試用した

RTX A3000とGeForce RTX 3060という選択肢
どちらを選べばいいのか?

 OSは「Windows 11 Home 64ビット」、CPUは「Core i9-12900H」(14コア、20スレッド、最大5.00GHz)または「Core i7-12700H」(14コア、20スレッド、最大4.70GHz)、GPUは「NVIDIA RTX A3000 Laptop GPU」(12GB)または「NVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPU」(6GB)を採用。メモリーは32GB(DDR5-4800)を搭載し、ストレージは2TB×2または1TB×1のPCIe Gen4 x4接続SSDを積んでいる。つまりCPU、GPU、ストレージ容量で差別化が図られている。

 新モデルは下記の2機種だ。
「ASUS ProArt Studiobook Pro 16 OLED W7600Z3A」(49万9800円)
 Core i9-12900H/ RTX A3000/ RAM32GB/ SSD2TB×2

「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」(34万9800円)
 Core i7-12700H/ GeForce RTX 3060/ RAM32GB/ SSD1TB×2

 ディスプレーは16型4K OLED(3840×2400ドット、アスペクト比16:10、輝度550cd/m²、DCI-P3カバー率100%、リフレッシュレート60Hz、色精度Delta-E<2、グレア)を搭載。出荷時にカラーキャリブレーションが実施されており、DisplayHDR 600 True Black、PANTONE、CalMAN、TÜV Rheinlandなどの認証も取得されている。

 入力デバイスはバックライトを内蔵したテンキー付き103キー日本語キーボード、3ボタンタッチパッドに加え、物理ダイヤル「ASUS Dial」が装備されている。

 インターフェースは、Thunderbolt4×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、HDMI 2.1、有線LAN(2.5GBASE-T)、SDメモリーカードスロット(SD Express 7.0対応)、コンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.1をサポートしている。

 本体サイズは362×264×19.9~21.86mm、重量は約2.35kg。90Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はW7600Z3Aが約11.8時間、H7600ZMが約9.9時間、充電時間は約1.8時間とされている。Core i9-12900H/RTX A3000のほうがバッテリー駆動時間が約1.9時間長いわけだ。

 なお「ASUS ProArt Studiobookシリーズ」の筐体には指紋防止コーティングが施されている。実際、天面やパームレストで手脂が目立ちにくかった。防指紋効果は確かなので、ASUSの全製品に採用してほしいところだ。

サイズは362×264×19.9~21.86mm。筐体には指紋防止コーティングが施されている

ハイパフォーマンスなCPUとGPUを効率的に冷却するため、底面には吸気口が広く開けられている。また底面左右には1W×2のステレオスピーカーを内蔵

ディスプレーは16型4K OLED(3840×2400ドット、アスペクト比16:10、輝度550cd/m²、DCI-P3カバー率100%、リフレッシュレート60Hz、色精度Delta-E<2、グレア)。タッチ操作には非対応

入力デバイスは103キー日本語キーボード、3ボタンタッチパッド、物理ダイヤル「ASUS Dial」を装備

前面(上)と背面(下)。背面には排気口がふたつ設けられている

右側面(上)にはSDカードスロット(SD Express 7.0対応)、コンボジャック、USB3.2 Gen2 Type-A、有線LAN(2.5GBASE-T)、左側面(下)にはセキュリティーロックスロット、USB3.2 Gen2 Type-A、電源端子、HDMI2.1、Thunderbolt 4×2を用意

ディスプレーの最大展開角度は実測151度

パッケージには本体、ACアダプター、電源ケーブル、製品マニュアル、製品保証書が同梱

ACアダプターのコード長は実測120cm、電源ケーブルの長さは実測180cm

ACアダプターの型番は「ADP-240EB B」。仕様は入力100-240V~3.5A、出力20V 12A、容量240W

別売りのスタイラスペン「ASUS Pen 2.0 SA203H」(直販価格8980円)には、2H、H、HB、Bの4つのペン先が付属する。また「Surfaceペン」などMPP(Microsoft Pen Protocol)2.0対応のスタイラスペンを利用可能だ

本体の実測重量は2263g

ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測710.5g

大胆かつ繊細に操作できる物理ダイヤル「ASUS Dial」
作業を非常に効率化してくれるのだ

 テンキー付き103キー日本語キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.5~1.6mm前後。キーボード面、パームレストの剛性は非常に高く、打鍵感も良好だ。

 一部キーが密着しているのは残念だが、個人的には多用するキーではないので、すぐに慣れることができた。快適に長文入力、数字入力が可能なキーボードだと思う。

キーピッチは実測19mm前後

キーストロークは実測1.5~1.6mm前後

キーボードバックライトは明るさを3段階で調節できる

 タッチパッドは、MPP(Microsoft Pen Protocol)2.0対応のスタイラスペン「ASUS Pen 2.0 SA203H」などを利用できるのが売りのひとつ。大型タッチパッドとは言え、実測130×65mmのスペースでイラストを描くのは正直かなり厳しいと思う。基本的には書類などに注釈やサインなどを入れるための機能と考えたほうがよさそうだ。

タッチパッドの面積は実測130×65mm

タッチパッドではスタイラスペンを利用できる。ただイラストを描くのにはちょっと狭い

 一方、物理ダイヤル「ASUS Dial」はIllustrator、Photoshop、Premiere Pro、Lightroom Classic、After Effectsなどの対応アプリを利用しているのなら、作業を非常に効率化してくれる。

 画面上のスライダーでもパラメーターを調整可能だが、やはり物理ダイヤルのほうが大胆、かつ繊細に操作できる。外付けダイヤルコントローラーのほうが多機能だが、パームレスト部に内蔵されており、いつでもすぐに使えるという点は本製品の大きなアドバンテージだ。

物理ダイヤル「ASUS Dial」は回転操作とプッシュ操作に対応している

「ASUS Dial」はIllustrator、Photoshop、Premiere Pro、Lightroom Classic、After Effectsなどのアプリに対応。未対応アプリでも設定ユーティリティー「ProArt Creator Hub」からショートカットを割り当て可能だ

電源ボタンは指紋認証センサー一体型

 16型の有機ELディスプレーはDCI-P3カバー率100%と謳われている。カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は100.0%、AdobeRGBカバー率は98.6%、DCI-P3カバー率は100.0%と非常に広い色域を確認できた。AdobeRGBカバー率も100%に近い値を示しており、AdobeRGBの色空間においてもプロクオリティーで作業できるディスプレーである。

輝度550cd/m²の有機ELディスプレーを搭載しているだけに、非常に鮮やかに映像、画像を表示できる

実測したsRGBカバー率は100.0%、sRGB比は155.5%、AdobeRGBカバー率は98.6%、AdobeRGB比は115.3%、DCI-P3カバー率は100.0%、DCI-P3比は114.6%

リフレッシュレートは最大60Hzだ

 92万画素赤外線(IR)カメラの画質は、ビデオ会議なら実用的なレベルだが、ビデオ配信用途には正直物足りない。「AIノイズキャンセリングマイク」と「AIノイズキャンセリングスピーカー」によってサウンド面のクオリティーが高いだけに、ウェブカメラの画質も引き上げてほしかったところだ。

ディスプレー上部には92万画素赤外線(IR)カメラ、クアッドアレイマイクを内蔵。プライバシーシャッターも装備されている

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proオン)

「AIノイズキャンセリングマイク」と「AIノイズキャンセリングスピーカー」を有効にすれば、双方向の音声にノイズキャンセリングを適用できる

CPUベンチでは
Ryzen 9 5900HX搭載機の約133%のスコアを記録

 最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回はCore i7-12700H/ NVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPU/ RAM32GB(DDR5-4800)/ SSD1TB(PCIe Gen4 x4接続)×2というスペックの「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」で計測している。

「HWiNFO64 Pro」で取得したシステムの概要

ベンチマークを実施するにあたっては、まず「MyASUS」でファンモードを「パフォーマンスモード」に設定

さらに「ProArt Creator Hub」でもファンモードを「フルスピードモード」に設定している

 まずCPU性能だが、「CINEBENCH R23」は18430pts、「CINEBENCH R20」は7075ptsとなった。

 「AMD Ryzen 9 5900HX」(8コア、16スレッド、最大4.60GHz)を搭載する従来モデル「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H5600」がR23は13848pts、R20は5452ptsだったので、「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」はその約133%、約130%のスコアを記録したことになる。

 102枚のファンブレードを備えた高性能ファンを2基搭載した「ASUS IceCool Pro Technology」により、Core i7-12700H搭載機としてパフォーマンスを最大限に引き出している。

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は18430、R20は7075ptsを叩き出した

「CINEBENCH R23」実行中のCPU温度は平均79.29℃、最大85℃、クロック周波数は平均3676.37MHz、最大3710.8MHz

「CINEBENCH R23」実行中の消費電力は平均175.83W、最大193.29W。アイドル時(パフォーマンスモード、フルスピードモード)の消費電力は26.67W

 一方、「3DMark」のTime Spyは8666、Fire Strikeは19404、Port Royalは4788となった。GPUに「NVIDIA GeForce RTX 3070」を搭載する「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H5600」がTime Spyは9622、Fire Strikeは18531、Port Royalは5901であった。

 下位グレードの3060を搭載する「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」のほうがスコアは低かったが、それでも3DMarkの推定ゲームパフォーマンスで「Apex Legends」(1080p Ultra)で「140+ FPS」に達している。「Apex Legends」クラスの3Dゲームなら快適にプレイできるだけのパフォーマンスは備えている。

「3DMark」のTime Spyは8666、Fire Strikeは19404、Wild Lifeは29478、Port Royalは4788

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは11290(とても快適)

 ストレージ速度については、「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7062MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5124MB/sを記録した。

 本製品のSSDは2基ともPCIe Gen4 x4接続「SAMSUNG MZVL21T0HCLR-00B00」を搭載している。仕様はシーケンシャルリード7000MB/s、シーケンシャルライト5100MB/sとなっており、スペックどおりの読み書き速度を発揮しているわけだ。

SSDは2基ともPCIe Gen4 x4接続「SAMSUNG MZVL21T0HCLR-00B00」を搭載。「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7062MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5124MB/s

 バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度40%、ボリューム40%でYouTube動画をバッテリー残量2%まで再生したところ、5時間44分動作した。90Whのバッテリーを搭載しているためボディーはやや重めだが、モバイルマシンとしても活用できるわけだ。

本格クリエイティブワーク向けノートPCながら
手頃な価格でコスパは高い!

 今回レビューした「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」は、Core i7-12700HとGeForce RTX 3060を組み合わせて、メモリーは32GB、ストレージは1TB×2と十分な容量。有機ELディスプレー、物理ダイヤル、ペン操作可能なタッチパッドも魅力的な装備である。本格クリエイティブワーク向けノートPCとして完成されているのに、価格はお手頃なのはうれしい。

 CAD、3Dモデリング&レンダリング、8Kビデオ編集などをするならCore i9-12900HとRTX A3000を搭載する上位モデルも視野に入れたほうがいい。しかし一般的なクリエイティブワークをこなしたり、3Dゲームをプレイするためのマシンを探しているのなら、「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H7600ZM」は非常にコスパの高い選択肢としておススメの1台なのである。

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