CEATEC 2022が2019年以来となる3年ぶりにオフライン開催された。実際の展示ということでオンラインでは体感できないモノ、気軽な質問、偶然の出会いなどといったリアル開催らしい雰囲気が幕張メッセに戻ってきた。
CEATECは今までのように家電や電子部品の見本市、という位置づけではなく「Society 5.0」の実現を目指す場となっており、ハードウェアではなくサービスの展示がメインに変わり、今回はメタバース、デジタルツイン、XRなどバーチャルなものが多くなった。
ローカル5Gを現実に感じる展示がNEC
NECが展示したのはローカル5G小型一体型基地局 UNIVERGE RV1200。CU、DU、RUといった制御部と無線部を同一筐体に収めたオールインワンの基地局で、従来に比べると大幅に低価格でローカル5Gの利用ができるもの。今回、CEATEC AWARDで総務大臣賞を受賞している。
ローカル5Gは、ケータイの基地局の電波というのではなく、利用シーン的にはWi-Fiの上位にあるものと捉えたほうがわかりやすい。Wi-Fi(無線LAN)では機器が安く誰もが使えるため、逆に混信やセキュリティといった面で不安があるが、ローカル5Gの場合は設置に許可が必要で、かつ、セキュリティという面でも大幅に強化できる。
これまでローカル5Gの設置や利用に億単位の費用がかかりがちだったものが、UNIVERGE RV1200のようなものが登場することで、セキュアなローカルな無線通信としては現実的なコストで導入できることになる。Wi-Fiではセキュリティをはじめ利用要件を満たさずに使っていなかったような場所での利用が進む可能性がある。
今回、基地局に加え、ローカル5Gのゲートウェイ「FG900CS」をなどを展示、より現実にローカル5Gを感じられる展示になった。今後、ローカル5Gは対応する端末も増えることが見込まれ、スマートフォンでもローカル5Gに対応した機種も、Androidスマートフォンから登場する見込みだという。
メタバースは「METAVERSE EXPO JAPAN 2022 in CEATEC」として出展
メタバースの展示は企業ごとの展示のほか、Meta社を中心としたメタバースエキスポジャパン実行委員会が「METAVERSE EXPO JAPAN 2022 in CEATEC」として出展した。
今回、ケータイキャリアでは、ソフトバンク、楽天モバイルに加えてドコモの100%子会社のNTTコノキューがMETAVERSE EXPOに出展している。
ソフトバンクは、メタバース上に展開するソフトバンクショップと、バーチャルPayPayドームの紹介。ソフトバンクショップではスタッフが常駐し、相談などができた。ただし、現在は実際の契約まではできないが、そのままオンラインショップにリンクして契約することもできる。バーチャルPayPayドームはパネル展示がされるとともに、映像イメージとして「4DOH」の装置でボールが飛び出す映像を体験するコーナーを設けていた。
楽天モバイルは、5Gネットワークを基盤として技術研究からサービス提供まで連携して新たなサービスを創出する「楽天モバイルパートナープログラム」とし、メタバースと5Gを活用したショッピング体験などを展示した。
ドコモは傘下のNTTコノキューとして、XR領域のサービスやソリューションを展示した。XR Worldとして、ライブ映像をメタバース内で見ることで、メタバース空間上の仲間と同時にライブ映像を見て、盛り上がるなどが可能。また、アーティストがライブをすると同時にメタバース空間に“降臨”して観客と交流するといったことも可能となる。新しいライブの視聴方法としての提案だ。
また、ARコンテンツの提供プラットフォームとなる「XR City Platform」、バーチャルライブの映像創出システム「Matrix Stream」を展示、Matrix Streamでは単にライブをバーチャルな人間が行うだけでなくドラマやミュージカルの講演も想定したものとなるという。
また、METAVERSE EXPOでは、さまざまな企業が出展、TOPPANは3Dアバターをその場で作成してくれる「Meta Clone」を展示、自分の姿の3Dアバターをその場で作成してくれると人気を集めていたほか、大日本印刷(DNP)はゴーグルを付けて歩くと名作の空間を歩くことのできるみどころウォークを展示、Metaも展示を出し、インスタグラムでARエフェクトができるQRコードを掲げ、あわせて全身の撮影ができるミラールームを出展した。