OPPOは8月、ドイツでのスマートフォン販売を停止した。Nokiaが現地で起こしていた特許訴訟にOPPOが敗訴し、販売差し止めとなったからだ。中国でのスマートフォン市場が縮小する中、OPPOには大きな打撃となりそうだ。
Nokiaに敗訴、ドイツ市場から姿を消したOPPO
8月初め、OPPOとOnePlus(OPPOのサブブランド)がドイツ市場から姿を消した。スマートフォン特許に明るいFlorian Mueller氏は、「特許訴訟の結果、大手スマートフォンメーカーが世界有数の市場であるドイツから撤退した」とし「歴史的に見ても初めて」だと記している(http://www.fosspatents.com/2022/08/shocking-nokia-patents-other-lawsuits.html)。
OPPOとOnePlusの2022年Q2での世界シェアは10%で、4位となっている(https://www.counterpointresearch.com/global-smartphone-share/)。ドイツは年2200万台程度のスマートフォンが販売される市場で、サムスン、アップル、シャオミ、ファーウェイが強く、OPPOとOnePlusを合わせても2%程度だ(https://gs.statcounter.com/vendor-market-share/mobile/germany)。
OPPOとNokiaの特許訴訟はマンハイムとミュンヘンの2地区で展開されている。Nokiaはここで、5G関連の特許2件について、OPPOとOnePlusがライセンス料を支払うことなく使用していると主張していた。
特許は、オーディオコーディングに関連する「ピッチラグ予測」(EP2080193)、効率的な不連続通信のための手法および装置で”キープアウェイクメッセージ”によるリソースの柔軟な割り当てに関するもの(EP3557917)が中心。
NokiaとOPPOは2018年にライセンス契約を交わしていたが、2021年に契約期間が終了。その後もOPPOは更新なしに特許を使い続けているという。
裁判所はNokiaの主張を支持、OPPOにドイツでの販売停止を言い渡した。OPPOのスマートフォンとスマートウォッチは店頭から姿を消した。
現在、OPPOのドイツサイトにアクセスすると、同社が公式パートナーを務めるUEFAチャンピオンズリーグの写真があり、下に「製品情報は利用いただけません」というメッセージが表示される。Q&A形式で、OPPO製品は継続して利用でき、サポートやアップデートも受けられると伝えている。
国際展開進めてきたOPPOにとっては大きなつまづき
OPPOは2004年創業で、多くの中国のモバイル端末ベンダー同様、当初はMP3プレイヤーなどを製造しており、2011年にスマートフォン市場に参入した。中国では20代など若年層を中心に人気に火がつき、事業見直し期にあったシャオミの低迷もあって2016年には中国市場のトップに立った。
2016年の成長率は2倍以上で、その後も販売台数のレベルを維持したものの、ここ数年は中国市場全体の縮小とともに減少傾向にある。
シャオミと同様、OPPOは国内で成長した後は国外に拡大を始めた。タイやインドなどに進出した後の2018年に欧州で販売を開始。同年、日本にも上陸した(米中関係もあり、米国では展開されていない)。
現在、同社の売上の半分が中国外からとなっている。そのうちドイツ市場が占める比率は少ないとしても、中国市場が急減速していることを考えると、打撃であることに変わりはない。NokiaはオランダでもOPPOに勝訴している。
この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ