デノンは9月15日、エントリークラスのAVアンプ「AVR-X580BT」を発表した。価格は5万8300円。9月下旬の発売。8K対応のHDMI端子を装備するなど、上位機譲りの高機能、高音質が特徴となっている。最大140W/5chのアンプを搭載。5.2ch対応となる。
予算を抑えつつ本格的なリアルサラウンドができる
国内のAVアンプ市場では、5年連続でブランド1位の成果を上げているデノン。「The home theater」を標ぼうし、リビングのすべての機器を集約して楽しめる機器の開発を重視している。
X580BTはAVR-X550BTの後継機種で、ラインアップでは最も安価な製品だが、バーチャルではなく本当の5.2chサラウンドを楽しめる機種として企画している。HDMI端子は8KアップスケーリングやDolby Vision、ゲームに適した4K120Hzなど最新技術に対応。4系統のHDMI入力すべてで利用できる。Bluetooth 4.2対応だが、ネットワーク機能は持たない。USBメモリーを利用したハイレゾ再生には対応している。
ロスレスサラウンドのDolby TrueHD、DTS-HDなどに対応。Dolby AtmosやDTS:X、MPEG-4 AACには非対応だ。
音質については「Vivid & Spacious」のコンセプトのもと、サウンドマスターの山内慎一氏が監修。最短の信号経路とHi-Fi的な作りこみを徹底している。パワーアンプ、プリアンプ、DACの信号ラインは出力インピーダンスを可能な限り低減。AVR-X1700と同様、ワイヤリング、ワイヤーツイスト、ビスの選定、緩衝材の見直し、耐圧を考慮した部品品種選定など、全体の作りこみまで徹底している。D&Mホールディングスの調達能力を生かした大容量のカスタムコンデンサーや大型のカスタムトランスフォーマーを採用した余裕のある電源部を持つ。Pure Direct機能も特徴だ。
アンプ部では多層のデジタル基板、パワーアンプ基板を新規採用。ワイヤーを減らして信号経路を最短化。ハイインピーダンスのアナログ入力端子をトランスから極力離してノイズを低減。オーディオ信号回路も極力ディスクリート部品を使用。ネットワーク回路を省いたスペースを生かして、基板にはコストをかけてコンデンサーを多数搭載している。ここがエンジニアのこだわりポイントだという。光デジタル入力端子はデジタル基板に取り込み、光信号を伝送する経路を短くし、ワイヤリングから飛び込むノイズを抹消しているという。
ボリュームについても上位機ゆずりのカスタムボリュームICを活用。ソース切り替えとボリュームICを別チップにしてレイアウト設計の最適化をしている。メインDACはGNDを介さずノイズの影響を受けにくい、ディファレンシャルDACにしている。ポストフィルターオペアンプは上位モデルと同等で、USB/Bluetooth用のDACも改良し、100dBから112dBに改善した。スピーカーターミナルもプッシュ式からスクリュー式になっている。GUIも高解像度化。文字の読みやすさ、画像の見やすさが大きく向上した。
アナログアンプとしてしっかり作りこむ
このようにエントリークラスの枠を超えた充実の機能が特徴。音楽再生用の2chアンプとしても高いクオリティーを有しており、デノン試聴室で実施したデモではSACDプレーヤーの「DCD-SX1」とB&Wの大型スピーカー「802 D4」を使い、余裕を持った再生能力をアピールしていた。
ペア400万円クラスのスピーカーと5万円台のAVアンプというミスマッチな組み合わせ。低域がやや緩めになるのは否めないが、中高域の見通しの良さを感じる十分な鳴りで、上位機の「AVR-X2800H」や「AVR-X3800H」と共通する透明感の高さや空間再現性能の高さを感じ取れた。単品Hi-Fiスピーカーと組み合わせたハイクオリティな音楽再生も期待できそうだ。
X3800Hの本体サイズは幅434×奥行き330×高さ151mmで、重量は7.6kg。アナログ音声入力×2、光デジタル入力×2、サブウーファー出力×2、USB(A端子)などを搭載する。