業務を変えるkintoneユーザー事例 第158回
年2回しか使用しないアプリがもたらした効果
情シスと総務で作ったkintoneの制服申請システムからDXが進み始めたマルテー大塚
2022年10月03日 10時30分更新
4月から開催されている「kintone hive 2022」もいよいよ最後。7月21日に東京のZepp Divercityで「kintone hive tokyo」が開催された。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD」に進出する。
kintone hive tokyoでは7社が登壇し、今回は3番手、マルテー大塚 システム部 西山結衣氏のプレゼンを紹介する。タイトルは「創業108年の老舗刷毛メーカーで制服手配担当になった総務部新人女子のおかげでグループ企業全体のDXがめちゃくちゃ進みはじめてしまい情シスDX推進担当の私は彼女に足を向けて寝れてないという話」だ。
年2回の申請とはいえ、制服の申請フローがアナログすぎた
マルテー大塚は大塚刷毛製造を中核としたホールディングス会社で、大正3年に創業した老舗だ。塗装用の刷毛やローラーの開発、販売をメインに、今では塗装に関する用具や設備全体を取り扱う総合商社となっている。
西山氏は情報システム部門に所属しており、社内のパソコンに関する問い合わせ対応や社員が利用するパソコンの設定作業、kintoneやGaroonの運用管理、社内広報活動、 そして業務改善の提案などを行なっている。
「私が入社して間もない頃に、営業部門をメインにkintoneが導入されました。kintone開発を行うチームが情シス部門の中にあるのですが、kintoneによる業務改善のコミュニケーションがみんなが閲覧できるスペースで行なわれていて、目にするうちに興味を持つようになりました。私はGaroonのみの担当でしたが、ガルキン連携を勉強させてほしいと志願し、kintoneに携わるようになりました」(西山氏)
そんなある日、総務部の新人から制服申請をデジタル化したいという相談が舞い込んできた。マルテー大塚では、業務中は制服の着用が基本で、女性であればブラウスなどのアイテムを年に2回申請ができる仕組みになっているという。
しかし、その申請フローはDXとほど遠いアナログなものだった。まずは、申請用紙を郵送し、総務担当が手書きで記入して返送。申込書の内容をExcelに転記、集計してメーカーに発注する。制服が納品されたら、納品物と受領書を郵送し、申請者は受領印を押して総務に返送。受領書は3年間保管するという流れだ。全国に約120ヵ所に事業所を展開し、社員数は約620名。1年に2回とは言え、大きな手間とコストがかかっていた。
「改善のしがしかないじゃん」 kintoneを使うに至る4つのポイント
「改善のしがいしか感じないじゃん」と思った西山氏はワクワクして取り組むことに。デジタル化する際、4つの要望があったという。
1つ目がひとり当たりの申請可能ポイント数の制限ができること。ワイシャツやスカートなどにポイントが割り当てられており、組み合わせは自由で、1年間に1人当たり合計2ポイントまで申請できるためだ。2つ目が事業所と制服の種類別で集計ができること。3つ目が上司が承認できること。そして、4つ目は全社員が申請できることだった。
総務の担当者はMicrosoft Formsで仮の申請ページを作成してイメージを見せてくれたそう。しかし、フォームは縦一列でわかりづらく、ポイントの制限ができない。アイテムごとのポイントや2ポイントを超えないようにといった注意書きはテキストで表示するしかなかったのだ。
フリーのサービスやMicrosoft Formsでは、集計や全社員の申請と言った条件はクリアできるが、ポイント制限や上司の承認を行うことは難しい。そこで、kintoneの利用を検討してみると、通知の制限もグラフ集計もプロセス管理もできる。
「kintoneがマッチしてそうだ、ということがわかりました。ただ、全社員が申請するところに壁がありました。kintoneはまだまだ営業部門での活用がメインだったので、管理部門のスタッフ約100名はkintoneライセンスがありませんでした」(西山氏)
年に2回の制服申請のためだけに、kintoneライセンスの稟議承認を得ることは難しい。すると、kintoneチームの先輩メンバーに相談したところ、トヨクモのkintone連携情報公開ツール「kViewer」とkintone連携ウェブフォーム作成ツール「フォームブリッジ」で解決できそうだと、アドバイスをもらった。
「kViewer」はkintoneライセンスを持っていない人でも、kintoneアプリ上のレコードを参照でき、「フォームブリッジ」はkintoneへのレコード追加ができる。さらに、「kViewer」と「フォームブリッジ」を掛け合わせることで、既存レコードの編集も行なえる。「これでだいぶ無敵じゃない!?」と西山氏。
完成した制服申請アプリには、申請時期や個人情報、承認フローで使う情報、アイテムごとの申請内容、自動配信メールで使う情報など、たくさんのフィールドが用意されていた。
制服申請の時期が来たら、総務担当者が申請者全員分の情報を記載したCSVファイルを用意し、それをkintoneアプリに取り込んでレコードを作成。その情報を元に、「kViewer」や「フォームブリッジ」を使って、フォーム画面を作成し、申請してもらうようにした。

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