量子科学技術研究開発機構、東京慈恵会医科大学、大阪大学などの共同研究チームは、全身麻酔時に高体温になる疾患である悪性高熱症について、その原因となるタンパク質への遺伝的な変異が、熱に対するタンパク質の応答を過敏にしてしまうことを発見した。
量子科学技術研究開発機構、東京慈恵会医科大学、大阪大学などの共同研究チームは、全身麻酔時に高体温になる疾患である悪性高熱症について、その原因となるタンパク質への遺伝的な変異が、熱に対するタンパク質の応答を過敏にしてしまうことを発見した。 悪性高熱症についてはこれまで、揮発性吸入麻酔薬などで誘発された1型リアノジン受容体(RyR1)のカルシウム放出が筋肉の熱産生を促進して、体温が上昇することが知られていた。研究チームは今回、RyR1が熱に応答し、さらなるカルシウム放出が促進される「熱誘発性カルシウム放出」と呼ばれる現象を起こしていることを発見。熱産生が熱誘発性カルシウム放出を引き起こし、さらなるカルシウムイオンの放出と熱産生を誘導して暴走することによって悪性高熱症が悪化してゆくメカニズムを見い出した。 同様な遺伝的変異は熱中症においても共通して見つかっていることから、熱中症との関連も示唆され、今回の研究が熱中症の発症メカニズムの解明や発症の予測にもつながることが期待される。 研究成果は、2022年8月4日付けで米国科学アカデミー紀要のオンライン版に掲載された。(中條)