早稲田大学と富士通の研究グループは、全固体二次電池の高分子固体電解質を機械学習で自動設計する手法を開発した。
早稲田大学と富士通の研究グループは、全固体二次電池の高分子固体電解質を機械学習で自動設計する手法を開発した。 研究グループは、2つの人工知能(AI)を組み合わせて適切な分子構造の物質の候補を出力させ、候補の中から最適なものを富士通が開発した疑似量子アニーリング・コンピューターである「デジタルアニーラ」で絞り込む手法を採った。 1つ目のAIは教師なし機械学習(制限ボルツマンマシン)で、電解質としてこれまでに検討されてきた材料構造群の特徴を学習させた。これで、固体電解質の分子的な特徴を自動的に認識させることが可能になる。2つ目のAIは教師あり機械学習で、研究グループが独自に構築したイオン伝導体データベースをもとに、分子構造と電気伝導度の関係を学習させた。 以上2つのAIが提示する大量の候補の中から、組み合わせ最適化問題を高速で解くデジタルアニーラで最適な組み合わせを導き出した。実際にこの手法で見つけ出した構造をもとに、新たな高分子材料を合成し、全固体リチウム電池の電解質層として機能することも確認した。 研究成果は6月27日、「マクロモレキュラー・ラピッド・コミュニケーションズ(Macromolecular Rapid Communications)」誌にオンライン掲載された。(笹田)