神戸大学の研究チームは、超音波によって前立腺がんの増殖を抑制でき、超音波照射治療と免疫チェックポイント阻害薬を併用することで、免疫チェックポイント阻害薬の効果が増強されることを発見した。
神戸大学の研究チームは、超音波によって前立腺がんの増殖を抑制でき、超音波照射治療と免疫チェックポイント阻害薬を併用することで、免疫チェックポイント阻害薬の効果が増強されることを発見した。 現在、前立腺がんの治療法としては、ホルモン療法、化学療法、外科的手術などがある。このうち、ホルモン療法はアンドロゲン依存性前立腺がんには効果があるが、アンドロゲン非依存性前立腺がんには効果が乏しく、外科的手術では患者のQOL(Quality of Life)の低下が問題となる。一方、免疫チェックポイント阻害薬は、多くのがんの治療で使われているが、前立腺がんに対しては適用例がおよそ3%と少なく、適用した場合の治療効果も高くない。 研究チームは、細胞レベルでの超音波照射治療の効果を検証するために、前立腺がんの細胞であるTRAMP-C2細胞を培養し、超音波を照射する実験を実施した。超音波は1Hz、10Hz、100Hzの3種類をそれぞれ別々の培養細胞に照射した。実験の結果、1Hz、10Hzの超音波を照射した培養細胞では、細胞増殖を有意に抑制できていた。また、超音波照射から4時間後、24時間後にアポトーシス細胞の割合を調べたところ、前期アポトーシス、後期アポトーシスともの有意に増加していたという。 研究チームは、前立腺がんの細胞を移植したモデルマウスでも実験を実施した。マウスには10Hzと100Hzの超音波を照射し、免疫チェックポイント阻害薬を投与した結果、有意に腫瘍の増殖を抑制できたという。 研究成果は4月27日、「ジャーナル・オブ・クリニカル・メディシン(Journal of Clinical Medicine)」にオンライン掲載された。(笹田)