プレビューの活用は標的型メールにも有効かもしれない
また、セキュリティの観点からは、こんなメリットもあるという。
「脅威による被害のほとんどは、添付ファイルを開いてしまったことから始まっている。だが、Boxを利用すれば、そもそも添付ファイルを開くということがなくなり、プレビュー機能によって中身を確認できる。PPAPの問題にも対応できる。現在、Boxでは、プレビューが可能なコンテンツの質と量の向上に取り組んでおり、最近では、ほぼ日本でしか使われていないDocuWorksのプレビューも可能にした」という。
さらに、昨今では、Boxを活用することで、社内と社外のデータ、定型業務の構造化データ)と、非定型業務の非構造化データを組み合わせた活用が増えていることも示す。
「Box Platformを活用することで、これらのデータやコンテンツが分断されることなく、利用でき、これまでにないメリットが生まれている」とする。
鉄道会社では、列車運行管理システムから得られる速度や停車時間などの構造化データに、駅の動画情報などの非構造化データを組み合わせることで、列車の運行効率化と顧客満足度を同時に向上させることができたという。「Boxにより、データの壁を壊すことで、これまでにはないようなメリットが生まれている」と語る。
製品のポートフォリオは増やす、ただしコンテンツ管理とセキュリティに特化する
Boxでは、コンテンツクラウドのビジョンのもと、構成する製品ポートフォリオを急速に拡大している。
マルウェアなどの脅威からコンテンツを守るBox Shield、コンテンツに対するガバナンスを実現するBox Governance、リアルタイムに複数の人とコラボレーションするBox Notes、コンテンツを中心としたビジネスプロセスの自動化を行うBox Relay、コンテンツのクラウドへの移行を支援するBox Shuttle、電子署名ソリューションのBox Sign、インタラクティブなビジュアルコラボレーションが可能なホワイトボード機能のBox Canvasなどをラインアップ。さらに、機能強化にも積極的であり、国際的なデータレジデンシー要件に対応できるBox Zonesでは、フランス地域を新たに追加して、フランス固有のプライバシー法にも準拠できるようにしたほか、FedRAMPやStateRAMPの認定取得に加え、日本でも2021年9月にISMAPに登録し、3省2ガイドラインにも対応。世界中の政府や業界団体などが定める業界標準に対応している。そのほか、Adobe Creative Cloudのコンテンツプレビューへの対応、Box SignのSalesforceとの統合、Microsoft TeamsやMicrosoft Officeとの連携強化、SlackやZoomとの連携強化を進めている。
こうした製品ポートフォリオの急速な拡大や機能強化は、この数年に渡るBoxの戦略的な取り組みともいえるが、その結果、Box Japanの古市社長には、「Boxが様々な機能を追加していることから、マイクロソフトやグーグルのようなオフィスアプリ全般をカバーする企業になるのか」という質もが増えたという。古市社長は、それに対して、「その答えはノーである」と語り、次のように続ける。
「Boxは、包括的なITツールの提供を目指すのではなく、コンテンツ管理やセキュリティ管理に特化したカテゴリーキラーとして、関連機能を深堀していくことになる。多くの人が利用するすべてのアプリと中立的な関係を保ちながら、密に連携を取っていくことになる。これにより、これまでにできなかった新たな分析や運用が可能になる。そうした世界を目指していく」とする。
あくまでも「コンテンツ」にフォーカスし、コンテンツを、使いやすく、セキュリティ高く管理し、生産性向上や業務プロセスの最適化につなげることを目指すという。それが「コンテンツクラウド」の基本姿勢でもある。その姿勢による進化がこれからも肝になる。
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