アクセンチュアは、世界のテクノロジートレンドに関する最新調査レポート「Accenture Technology Vision 2022」を発表した。同レポートは、毎年公開しているもので、今年で22回目となる。
今年のレポートでは、「メタバースで会いましょう-ビジネスを再創造するテクノロジーと体験の融合(Meet Me in the Metaverse: The Continuum of Technology and Experience Reshaping Business)」と題し、メタバースを中心とした4つのテクノロジートレンドを示し、説明会もメタバース環境で行なわれた。
レポートでは、全世界2万4000人の消費者や、日本を含む35ヵ国、23の業界にわたる4650人の上級役職者や役員を対象に調査を実施。テクノロジー分野の有識者や業界の専門家、アクセンチュアの経営幹部に対するインタビューのほか、公的機関や民間企業、研究機関、ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業に在籍する25人以上の有識者で構成するテクノロジービジョン外部諮問委員会からも知見を収集し、反映している。
アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループ共同日本統括マネジングディレクターの山根圭輔氏は、「Accenture Technology Visionは3年ごとにひとつのセットとなっており、2016年からの3年間は、ひと中心にテクノロジーを活用することが中心となり、2019年からの3年間はデジタルの時代が終わり、ポスト・デジタル時代の到来に備えて、すべての企業がテクノロジー企業になり、それを牽引するのがテクノロジーCEOであることを示した」とし、「2022年からは新たな時代を示すタイミングとなる。すべての企業がテクノロジー企業になったあとに備えるべきことは、次のフロンティアはメタバースになるということである」と提案した。
同社の調査によると、全世界の98%の経営幹部は、長期戦略の立案において、経済や政治、社会よりも、テクノロジーの進歩を信頼すると回答。71%の経営幹部はメタバースが自社にポジティブなインパクトをもたらすと回答。その上で、拡張現実やブロックチェーン、デジタルツイン、エッジコンピューティングなどのテクノロジーによって、人々の体験のあり方が変わりつつあると同時に、企業は従来の事業計画とはまったく異なる未来に向かって、競争を始めていると指摘した。
アクセンチュアでは、メタバースの定義を、「現実性から完全仮想世界までと、その中間にまたがる連続的な共有体験において、ブラウジングの場から、参加や居住の場へと移行可能なインターネットの進化系」としている。
アクセンチュアの山根氏は、「アクセンチュアは、メタバースを『メタバース連続体(Metaverse Continuum)』として捉えており、『テクノロジーがつながる』、『仮想と現実を行き交う』、『企業の顧客の接点が広がる』という3つの要素の連続性によって、『メタバース連続体』が進化し、人々の生活を取り囲み、企業に再構築と変革をもたらすことになる」と位置づけた。メタバースをひとつの仮想空間ではなく、メタバース同士の連携、物理空間との連携のほか、様々な人や企業がつながること、そして、様々なテクノロジーが組み合わさるといったように、「連続体」として構成される世界で捉えるべきだと指摘している。
今回のレポートのなかでは、メタバース連続体を支える4つのテクノロジートレンドとして、メタバースのなかの私を示す「Web Me」、世の中をパーソナライズする「プログラム可能な世界」、本物の世界をAIが人工的に作る「アンリアル」、新たなマシンが可能性を切り開くことになる「不可能を可能にするコンピューティング」をあげている。