理化学研究所、筑波大学、横浜市立大学の共同研究チームは、植物へのエタノールの投与により、高温ストレス耐性が強化されることを発見した。気候変動への対応で求められる、農作物の高温耐性を強化する肥料や技術の開発につながりそうだ。
理化学研究所、筑波大学、横浜市立大学の共同研究チームは、植物へのエタノールの投与により、高温ストレス耐性が強化されることを発見した。気候変動への対応で求められる、農作物の高温耐性を強化する肥料や技術の開発につながりそうだ。 研究チームは、モデル植物のシロイヌナズナに安価で入手しやすいエタノールを投与し、遺伝子発現や代謝産物の量的変化を網羅的に解析した。すると、「小胞体ストレス応答(UPR)」が高温ストレス耐性の獲得に関与していることが示唆された。小胞体ストレスとは、さまざまな環境ストレスにより、折り畳みが不完全なタンパク質が細胞の小胞体内に過剰に蓄積してしまった状態を指す。 そこで、小胞体ストレス応答に関わる薬剤処理実験や変異体の解析をした結果、エタノール投与により小胞体ストレス応答が促進されることで、高温ストレス耐性が強化されることが明らかになった。また、エタノール投与によってレタスの高温ストレス耐性も強化できることが分かった。 気候変動による厳しい高温条件は植物にとってストレス要因であり、作物がダメージを受けて収量が低下することによる食糧不足が懸念されている。高温などの環境ストレスに強い植物(環境ストレス耐性植物)を創出する技術を開発し、作物に応用できれば、こうした課題を解決できる可能性がある。 研究成果は、科学雑誌、プラント・モレキュラー・バイオロジー(Plant Molecular Biology)オンライン版に6月22日付けで掲載された。(中條)