中国オッポの日本法人であるオウガ・ジャパンは16日、スマートフォン新機種「OPPO Reno7 A」を発表。日本のユーザーの声を取り入れ、長く愛着を持って利用できるよう機能やデザインに力を入れたOPPO Reno7 Aだが、開発の経緯や日本のユーザーの意見が反映された部分、気になるOSアップデートの対応などについて、グループインタビューで話を聞くことができたのでその内容をお伝えしたい。
なおグループインタビューに参加したのは、オウガ・ジャパンの専務取締役である河野謙三氏と、ブランドディレクターの黒川進一氏、そしてプロダクト部部長の李毅氏の3名だ。
日本のユーザーやデザイナーの意見が反映されたのは?
──防水やFeliCa以外に、OPPO Reno7 Aでは日本のユーザーへの調査でどのような部分を深堀りし、反映させたのでしょう?
黒川氏 定期的にTwitterを主としたSNSで調査をしていますが、OPPO Reno7 Aの開発に当たって注目したのは、薄くて軽いものが好まれること、そしてバッテリー容量を気にする人が多かったことなどです。中でも重視したのは、携帯電話を次々と買い替えるのではなく、愛着を持って使う人が多かったこと。日本市場ではそのような傾向が強く出るからこそ、今回は長持ちする性能の実現に取り組んでいます。
──開発に当たってはユーザーのほか、日本のデザイン会社とも調査などをしたそうですが、それはどのような企業で、どのような所を担当したのでしょうか。
河野氏 企業の詳細は言えませんが、皆さんが日常的に触れているものを多く手掛けている、著名な企業です。
李氏 パートナー(日本のデザイン会社)との取り組みは2021年の夏から秋にかけての4カ月間で、具体的にはオッポ本社のデザイン部門から10名、パートナーから18名、40名のユーザーが入り、色や素材などに関して調査を実施しています。その結果を本社にフィードバックしてサンプルを作り、日本でも受け入れられるかを確認して商品化に至っています。
──日本のデザイナーからはどのような意見が出ましたか。
李氏 最初に一般方からの結果からの意見を聞いた結果、漫画のような色鮮やかなカラーと、シンプルで穏やかなカラーという、真逆のものに人気が集中したので驚きました。そこでバランスを取るため4ヵ月もの期間をかけて議論をしたのですが、時代の1歩先を進んだデザインではキャッチーですが飽きられてしまう。0.5歩というコンセプトでデザインの計画を進め、質感がありながらもシンプルというコンセプトが大事という結論に至っています。
──本体カラー以外にも意見を取り入れた要素はあるのでしょうか?
李氏 握った時の感覚や重さなどを、モックアップやカラーチップなどに実際に触れて判断していくので、カラーだけではなくサイズや素材、加工プロセスすべてにおいて、日本のデザイナーと4ヵ月かけてやってきています。ここまで時間や人数、予算をかけたのは今回初めてですが、今後に継承できる部分や、グローバルにも恩恵を与える部分もあったのでよかったと思います。
ユーザーの声からカメラより画面やバッテリーを重視
──OPPO Reno7 AはOPPO Reno 5 Aと比べ、メインカメラの画素数が6400万画素から約4800万画素に下がっているほか、カメラの数も減少しています。画質などに影響はないのでしょうか。
李氏 ユーザーからはディスプレー強度や有機EL、バッテリー、薄く軽くといったユーザーの声が多く、そちらを優先しています。ただカメラもユーザーが損をするほど影響が出る訳ではありませんし、インカメラで「ネオンポートレート」機能をサポートするなど、機能自体は強化しています。
──チップセットもOPPO Reno 5 A(Snapdragon 765)と比べクラスが下がっています。パフォーマンスに与える影響はどうでしょう?
李氏 チップの世代が変わっており、OPPO Reno7 Aが採用するSnapdragon 695 5Gは最新のものです。正直なところ、Snapdragon 695 5GはSnapdragon 765よりAnTuTu(ベンチマーク)の点数が高いです。
──5Gの対応バンドにn79(ドコモの4.5GHz帯)にも対応していませんが、こちらの対応をどう考えていますか。
李氏 今回我々が扱う顧客は、現状対応しているバンドで十分カバーできていると考えています。n79に関しては市場動向、ユーザーがどれくらいいるかをヒアリングしながら検討していきたいです。
──半導体不足や円安など、足元の環境がOPPO Reno7 Aの価格に与える影響は。
河野氏 正直に言えば、実は我々は半導体不足自体はそれほど悩んでいません。オッポがグローバルのサプライチェーンを構築しており、世界中でIoT製品を販売している強みが大きいですね。
ただ価格については頭を悩ませていて、我々の製造コストも20%ほど上がっています。為替の影響もあり、そのまま消費者にコストを転嫁すべきかどうかは社内でも長く議論をしていたのですが、日本市場全体の流れを見ると3~4万台の価格帯に対するニーズが非常に強い。今回の販売価格は(前機種の)OPPO Reno 5Aから少し値段は上がりましたが、そこまでは上がっておらず企業努力でカバーしています。
OSアップデートの保証は現時点で1回
それ以降はどうする?
──OPPO Reno7 Aは長く使えることがコンセプトですが、具体的に何年くらいを想定していますか?
李氏 日本のスマートフォンの買い替えタイミングは3~4年がトレンドなので、我々もそのような形(3年以上)を想定しているし、端末の修理も3~4年以上と考えています。またReno Aシリーズは長く使いたいユーザーの声が非常に大きいので、OPPO Reno7 Aでは長く使える工夫を多く取り入れています。
ハード面ではバッテリーやディスプレー強度の強化がそうです。ソフト面では36ヵ月間サクサク動作する技術の搭載のほか、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)に評価してもらい、マイナンバーカードや(新型コロナウイルスワクチンの)接種証明書の電子登録などの対応も進めています。またセキュリティー関連のアプリも動作に特殊なところがあるので、パートナーと性能評価をしながら積極的にサポートしていますね。
──OSアップデートは何年、何世代までアップデートする予定でしょうか。
李氏 1回目(Android 12)は準備していて、既にスケジュールを本社やパートナー企業と話している最中です。2回目以降はパートナー企業などの都合も含め、現時点では未定です。
──2回目以降のアップデートが検討中となると、2年くらいでアップデートが終わってしまうことになります。アップデート保証がないと長く使えないのでは?
李氏 まず、OSアップデートをしないと使えなくなる訳ではありません。そしてアップデートできるかどうかは、我々だけでは決められません。グーグルやクアルコム、通信キャリアなどと話し合わなければならず、現時点で明確には答えられないのです。
──OPPO Reno7 Aは36ヵ月利用できるというメッセージを出していますが、セキュリティーアップデートはそこまで継続するのでしょうか。
河野氏 我々も(OPPO Reno7 Aに搭載している)Snapdragon 695 5Gで長く(アップデートを)やりたいと、グーグルと話はしています。グーグルとはこれまでも親密に連携しているし、クアルコムとも強力なパートナーシップを結んでいるので、そうした意味でも両社と3年先の話をしながら継続していきたいですね。
プロモーションはマスからデジタル主体へ
──これまでのReno Aシリーズでは指原莉乃さんを起用してプロモーションをしていましたが、今回はありません。プロモーションはどうしていくのでしょう?
黒川氏 指原さんとコラボレーションを実施した目的は、市場での認知度を上げることでした。その目標は達成できたと考えていて、次はどうやって商品を使う人とのエンゲージメントを高めるかが課題です。そのためにはプロモーションの軸足をデジタルに移し、本当に伝えたいコンセプトやフィロソフィーについて、長尺の動画などを使ってコミュニケーションしながらブランドに共感する顧客にコミットしていきたいですね。
──オンラインショップを今回のタイミングでオープンした経緯は。今後の販売チャネルにおけるオンラインショップの立ち位置を教えて下さい。
河野氏 どうしてもユーザーとのコンタクトポイントを持ち、それをサポートしつつ次の製品に活かしたい思いが強かった。ただ、ほかのビジネスパートナーも重要で、お互いにWin-Winになるよう運用していかないといけないので、うまくバランスを取りながらやっていきたいです。
──今回はReno Aシリーズのみの発表ですが、「Find」「A」など他のシリーズに関してはどうなっていますか。
黒川氏 Reno Aシリーズは屋台骨ということもあって、今回はOPPO Reno7 Aを発表しました。ほかの商品に関してはビジネス環境や顧客ニーズを見た上で検討していきたいと思っていますが、今日時点で具体的なことは答えられません。
──新たにタブレットを2022年下半期に投入すると予告しましたが、予告だけにとどまっています。投入するタイミングをどう見ているのでしょう?
河野氏 本当は今後出るタブレットなども一緒に並べて見てもらうのが一番好ましいのは分かっています。ですが、それぞれの製品で開発スケジュールが違う。OPPO Reno7 Aに足並みをそろえられなかったので、詳細を公表しないという意思決定をしています。
──ありがとうございました。