他のMVNOと異なり「VoLTE」の高音質通話が可能なのが
HISモバイルならではのメリット 仕事の通話用に便利
それでも「アプリ不要でかけ放題が可能、通話料が安い」という点だけだと、実は他の格安SIMでも対応例が増えてきている。しかし、HISモバイルではさらに通話音質が良好という要素が、スマホに詳しいユーザーに人気となっている理由だ。
若干話が複雑になるが、多くのMVNOの格安SIMでは「中継電話」と呼ばれる仕組みを用いて料金を安くしている。これはたとえば(ドコモのネットワークを用いている)格安SIMから、ソフトバンクのスマホに電話をかける際は、
ドコモの設備→中継電話会社の設備→ソフトバンクの設備
と途中で第3の通信会社を挟んでいる。ところが、HISモバイルでは、
ドコモの設備→ソフトバンクの設備
と、他の通信会社の設備を挟まない。そのため、スマホ間で高音質通話を実現するための技術である「VoLTE」がそのまま利用でき、相手の声も非常にクリアに伝わる。さらにドコモのスマホ(ドコモMVNOを含む)に対しては、より高音質な「VoLTE(HD+)」での通話が可能だ。
実際に、中継電話を用いる格安SIM(今回はOCN モバイル ONE)からソフトバンク回線への通話、HISモバイルからソフトバンク回線やドコモ回線への通話を聞き比べたが、前者もすごく音質が悪いわけではなく(3G時代のケータイから比べればずっといい。固定電話と同じくらいか)、遅延や途切れもあるわけではないが、声がやや平板な感じに聞こえる。後者は声がずっとクリアで言葉の調子もしっかり伝わり、会話がしやすい印象。VoLTE(HD+)では、さらにクリアで肉声に近い音質での利用が可能だった。
テレワークでビデオ会議の機会が増えた人なら特に理解しやすいと思うが、使っているマイクのクオリティー次第で会話のスムーズさ、そして相手の印象の好悪すらも変わることがある。特にスマホを使って、仕事での通話をする機会が多い人は、この通話音質という点にも注目したい。
昼休みでも大きな不満なく使える
フリーランスで働く人や親用の回線にも適しているのでは?
最後にデータ通信での快適度。最近の格安SIMは、混雑しやすい昼休みの時間帯を含めて、通信速度で不満を感じる機会は少ないが、HISモバイルのサービスでもそれは基本同様。昼休みの時間帯以外は数十Mbpsの速度でPing値も60~80ms程度と快適。昼休みでも下り1~2Mbps程度は出ており、YouTubeでの動画再生でも480pであれば再生可能。そのほかの使い方でもスマホでは大きな不満は生じなかった。
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では結論。最安月290円~、7GBでも月990円、かけ放題も月1480円という料金は格安SIMの中でも割安。それでいて音声通話での強味は他のMVNOの格安SIMに無いもので(同様にアプリ不要&VoLTE HD+で利用できるのはHISモバイルのベースとなっている日本通信SIMくらい)、他のサービス内容もこれといった弱点は見当たらない。唯一残念なのは、初期費用として3300円が基本必要な点だろう(他のサービスのように簡単に安くする方法がない)。
フリーランスだったり、テレワーク中心の業務で、自分のスマホで仕事の通話をする人には特に便利だし、HISモバイルでは法人契約も可能なので、個人事業主や小規模事業者がスタッフに持たせる端末用としても使い勝手がよさそう。親世代の家族に、これなら長電話しても大丈夫だからと渡す手もある。大手どころのサービスと並んで、HISモバイルが格安SIMの中でも有力な選択肢になったことは間違いない。