京都大学の研究チームは、女性ホルモンの一種である「エストラジオール」に乾癬(かんせん)抑制効果があることを発見した。乾癬は、全世界で1%ほどが罹患している慢性炎症性皮膚疾患で、皮膚がかさぶたのようになって剥がれ落ちる症状が出る。男性に比べると女性はかかりにくく、かかったとしても重症化しにくいことが知られていた。
京都大学の研究チームは、女性ホルモンの一種である「エストラジオール」に乾癬(かんせん)抑制効果があることを発見した。乾癬は、全世界で1%ほどが罹患している慢性炎症性皮膚疾患で、皮膚がかさぶたのようになって剥がれ落ちる症状が出る。男性に比べると女性はかかりにくく、かかったとしても重症化しにくいことが知られていた。 乾癬の大きな原因として、免疫細胞の過剰活性化が挙げられる。研究チームは、エストラジオールが免疫細胞の活性化を制御して、乾癬の炎症を抑制していると推測。雌マウスの卵巣を除去し、女性ホルモンを産生できないモデルマウスを作製した。すると卵巣を除去したマウスでは、除去していないマウスに比べて皮膚の炎症が著しく増悪。一方、卵巣除去マウスにエストラジオールを補充すると、皮膚の炎症は増悪しなかった。 研究チームはさらに、エストラジオールの作用標的細胞を探索した。その結果、好中球とマクロファージにエストラジオールを作用させると両細胞の活性が抑制されることが分かり、好中球とマクロファージにエストラジオールが作用できないように遺伝子を改変したマウスでは、皮膚炎症抑制効果は現れなかった。 研究成果は5月16日、米医学誌「アレルギー・臨床免疫学誌(The Journal of Allergy and Clinical Immunology)」誌にオンライン掲載された。(笹田)