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東工大、鉄さびの主成分を使って二酸化炭素を再資源化

2022年05月17日 16時29分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学の研究チームは、鉄さびの主成分であるα型酸水酸化鉄(α-FeOOH)からなる固体触媒を開発。可視光をエネルギー源として、二酸化炭素を、水素のキャリア物質であるギ酸へ変換することに成功し、世界最高の二酸化炭素還元選択率でギ酸を得る初の鉄系固体触媒を実現した。

東京工業大学の研究チームは、鉄さびの主成分であるα型酸水酸化鉄(α-FeOOH)からなる固体触媒を開発。可視光をエネルギー源として、二酸化炭素を、水素のキャリア物質であるギ酸へ変換することに成功し、世界最高の二酸化炭素還元選択率でギ酸を得る初の鉄系固体触媒を実現した。 研究チームは、鉄系の土壌鉱物(α-FeOOHなど)が二酸化炭素の吸着能力を有する点に着目し、α-FeOOHを基盤とした固体触媒を開発。開発した触媒が分子光増感剤の共存下で、二酸化炭素のギ酸への還元的変換反応において高い性能を示すことを見い出した。触媒調製条件を最適化した結果、α-FeOOをアルミナ(酸化アルミニウム)に担持した触媒が特に高性能を有し、80~90%という世界最高水準二酸化炭素還元選択率を実現した。 光エネルギーを利用して二酸化炭素から有用物質を得る「人工光合成」系の構築を目指す研究では従来、貴金属や希少金属からなる固体触媒が用いられており、資源的制約の観点から代替材料の開発が求められていた。今回の研究成果から、資源的制約とは無縁な多存元素からなる材料を使い、太陽光をエネルギー源として、地球温暖化の主因である二酸化炭素を常温常圧下で有用な化学物質に変換できる可能性が見えてきた。 研究成果は5月12日に、ドイツ化学会誌「アンゲヴァンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition)オンライン版に速報として掲載された

(中條)

 

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