トースターや扇風機、コーヒーメーカーなど、既存メーカーにはない体験や要素を盛り込んだ白物家電で実績を築いたのち、昨年11月にAndroidスマートフォン「BALMUDA Phone」をリリースしたバルミューダ。
コンパクトで握りやすさを追求したデザイン、独自アプリなどで美点を持ちつつも、従来のスマートフォンの方程式からはやや外れたスペックや価格設定、料理撮影時のカメラ画質、バッテリーサイズの小ささ、技適に関連した一時的な販売休止など、第1弾モデルとして苦しいスタートとなったことは否めない。しかし、白物家電と異なり、販売後もソフトウェアで改良が進められる特性を活かし、着実にアップデートを進めており、すでに「改善項目は100を超える」(同社ITプロダクツ本部 本部長 一之瀬春人氏)という。
そんな「体験がよくなるアップデート」の集大成となるのが、5月19日に公開予定の「ソフトウェアアップデート2」だ。メディア向けに先行体験会が開催されたので、改良された部分を見ていこう。
システムフォントを変更 デザイン誌「AXIS」のフォントを
BALMUDA Phone向けにチューニングしたものを搭載
スマートフォンのユーザー体験を向上させるうえで課題となるのが、実際にユーザーが使っているアプリやサイトがそれぞれ異なる点にある。しかし、それでも共通なのはなにかと言えば「フォントではないか」ということから、BALMUDA Phone向けにカスタマイズした専用フォント「AXIS Balmuda」を搭載した。
具体的には、デザイン誌「AXIS」が雑誌を始めとする出版物で使用、単体のフォントとしても提供されている「AXIS Font」をベースにBALMUDA Phone向けにカスタマイズ。BALMUDA Phoneの画面サイズに合わせてウェイトなどを調整することで、確実に日々の体験を向上できるようにしたとする。
実際に見ると、それまで使われていたAndroid端末では定番の「Noto Sans」とパッと見は大きく変わらないが(そもそもNoto Sansも十分な品質を持っている)、やや細身でシンプルな表示で小型の画面に合っている印象だ。
カメラアプリも進化
レスポンスの向上や自撮りでの背景ボケが可能に
カメラアプリも「体験がよくなる」という観点からアップデートが行なわれた。
まず、シャッターボタンを押した瞬間のレスポンスを向上。約40%高速化された。また、明るさが足らない場所で、より手ぶれが少ない写真になるようにシャッター速度を調整した。BALMUDA Phoneのカメラは、実際の撮影シーンや環境を整えれば十分な画質で撮影できる実力を持っていたとするが、普通のユーザーが「撮りたいと思った瞬間に安定していい写真を撮れる」よう改良を加えたとのことだ。
また、カメラをリア/フロントで切り替えるのに従来はメニューを進む必要があったのが、メインのUIにボタンを用意。また、自撮り時でも人物モードを選ぶことで背景ボケが可能になった。
画面スクロールの際のレイテンシを低減
より滑らかに追従するように
画面スクロールについても改善されている。スクロール時のレイテンシが低減しており、実際に操作してみても、より指の動きに付いてくるようになっていることが体験できた。このレイテンシの低減は発売時もその時点でできうる限りの開発をしたとのことだが、「乾いた雑巾を絞るように」(一ノ瀬氏)改良を進めた結果、さらに進化させたとのこと。
そのほか、新しいデザインの壁紙なども追加されているが、もう1つ注目なのが、新しい周辺機器であるワイヤレス充電器(近日発売予定、8800円)だ。BALMUDA PhoneはQi仕様のワイヤレス充電に対応しているが、背面が丸みを帯びているため、一般的なワイヤレス充電器ではどうしても使いにくい部分があった。
一方、今回のワイヤレス充電器は、専用設計でBALMUDA Phoneの背面に合わせた形状になっているため、ピッタリと収まり、デザイン的にも使い勝手にも優れている。BALMUDA Phoneを気に入って使っているユーザーなら、確実に購入したくなる製品だろう。
今回大きなアップデートを果たしたBALMUDA Phoneだが、夏にはAndroid 12へのバージョンアップも予定されている。今後のさらなる進化にも期待が持てそうだ。